写真●楽天証券のCIOである平山忍常務執行役員情報システム本部長
写真●楽天証券のCIOである平山忍常務執行役員情報システム本部長
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 楽天証券は2014年4月23日、オンライン証券取引システムの基幹データベース(DB)基盤を刷新すると発表した。2011年に導入した日本オラクルの「Oracle Exadata Database Machine」を現行の「V2」から「X3」にアップグレードする。新システムは2014年5月末までに稼働する予定だ。現在運用中のOracle Exadataは2011年から5年間使い続ける計画でいたが、2013年のアベノミクス効果で証券取引が急増したため、償却前に刷新を決めた。

 楽天証券のCIO(最高情報責任者)である平山忍常務執行役員情報システム本部長は「2桁億円の投資になるが、顧客サービスの向上と安定稼働を優先した」と、日経情報ストラテジーの取材で明かした(写真)。具体的には新DBの導入で、取引所への株式取引注文の反映速度や取引所からの約定通知の反映速度が、従来比で約2倍に高まる見込みだという。

 しかも、2014年3月末時点で167万人いる会員が今後5年間で約2倍の300万人まで増えても、今回実現する2倍の反映速度を維持できるとしている。

 平山常務執行役員は償却前に基幹DBの刷新を決めたことについて、「ちょうど1年前の2013年4月と5月に合計2回、アベノミクスによる取引量の急拡大で、システムがスローダウンした。この先さらに取引量が伸びれば、危険だと感じて先手を打った」と打ち明ける。スローダウンとは、会員が画面にログインしたり注文を出したりした時に、処理に時間がかかる状態を指す。

 このスローダウンを回避するため、2011年に立てた計画よりも2~3年前倒しで、基幹DBを更新する決断を下した。