写真●「2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会」の第5回会合の様子
写真●「2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会」の第5回会合の様子
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 総務省は2014年4月22日、2020年代の情報通信のあるべき姿を議論する「2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会」の第5回会合を開いた。前々回(関連記事:総務省の基本政策委員会がヒアリング、まずはケイオプ、日本通信、UQなど)と前回(関連記事:総務省ヒアリングでドコモ、KDDI、ソフトバンクが舌戦)に引き続き、事業者や関連団体へのヒアリングが行われた。

 意見聴取のために登場したのは、徳島県知事、ジュピターテレコム、日本ケーブルテレビ連盟、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)、イー・アクセス、ティーガイア、テレコムサービス協会(テレサ協)、情報通信ネットワーク産業界(CIAJ)――という8事業者/団体(写真)。なお、今回がヒアリングの最終回となる。

 幅広い立場の事業者/団体が集ったためか、議論は「ブロードバンドのユニバーサルサービス化」や「SIMロック解除の在り方」「クーリングオフ制度の是非」「MVNOの促進策」と広範に及んだ。

課題先進県の徳島県がICT利活用の先進事例を紹介

 全国で初めて4人に1人が65歳以上の高齢者となり、課題先進県となっている徳島県。同県の飯泉嘉門知事はヒアリングにおいて、徳島県ではICTを活用してシニアが活躍しているという実例を紹介した。

 取り組みの一つとして紹介されたのが、料亭などに添える葉っぱのツマモノを扱う、同県上勝町の企業「いろどり」の事例だ。高齢者が多い葉っぱの生産者に対してタブレット端末を配布。高齢者でも利用できるリアルタイムの受発注システムを構築したという。この取り組みによって「年収1000万円を超えるおばあちゃんも出てきた」(飯泉知事)といい、若い世代がUターンして手伝うケースも出てきているという。飯泉知事は、ICTを駆使するアクティブシニアを生み出すためには「高齢者目線に立ったヒューマンインタフェースの開発が不可欠」とした。

 もう一つ紹介されたのは、徳島県神山町の「サテライトオフィスプロジェクト」だ。同県では山間部の限界集落においても光ファイバー網が行き届いており、町内の空き家や遊休施設を、首都圏ICT企業のサテライトオフィスとして活用する事例が進んでいるという。この結果、神山町では1970年以降、初めて人口の流入が流出を上回ったという。