経済産業省は2014年4月14日、経済産業大臣の私的懇談会として「次のアップル、グーグル、フェイスブックは日本から出す!」をテーマに開催されたベンチャー有識者会議で議論されたベンチャー支援策の課題およびその対応策のとりまとめを公表した(関連記事1:「ベンチャーと大企業」テーマに有識者会議、「日本では大企業のM&Aが低水準」と茂木経産相、関連記事2:ベンチャー有識者会議、「開業率10%達成に向け具体的手段必要」と茂木経産相)。
とりまとめは、冒頭「ベンチャーとは、起業にとどまらず、既存大企業の改革を含めた企業としての新しい取り組みへの挑戦である」と宣言。「次世代を担う企業群を形成し、『新しい力』で経済を再生するために、ベンチャー創造の好循環を実現する」と続ける。
今回公表されたとりまとめは、この「ベンチャー宣言」のほか、「ベンチャーの必要性」「日本のベンチャーの課題」「ベンチャー創造の好循環の実現に向けて」の4部で構成。日本のベンチャーの課題としては、「起業する人が少ない」「リスクマネーが少ない」「グローバル化できていない」「大企業とベンチャーの連携の不足」「技術開発型ベンチャー・地域発ベンチャーが少ない」「行政によるベンチャー支援の課題」の6点を挙げた。
「ベンチャー創造の好循環の実現に向けて」については、これを実現するための具体的な施策を三つの項目に分けて掲げた。
まず、「社会を動かす大胆な制度改革の推進」については、
- 年金基金によるベンチャー投資枠の創設
- ベンチャーへの思い切った税制措置等
- 政府調達改革によるベンチャー調達枠の創設
- DARPA(国防高等研究計画局)型研究開発支援スキーム等の創設
- 企業実証特例・グレーゾーン解消制度による障壁突破
- 公的セクターの経営資源の解放(電力関連データ等)
次に「挑戦するベンチャーを支える意識改革・起業家支援」として、
- 初等教育からの起業家教育の充実
- 大学・大学院の起業家教育ネットワークへの参加倍増
- ベンチャー支援人材10倍増
- ダイバーシティを活かす起業家支援
- グローバル・ベンチャー人材の育成
- 再チャレンジの促進
最後に「大企業も含めた日本経済全体でのベンチャー創造」として、
- ベンチャーとの連携先企業100選
- 出口戦略としてのM&A促進
- スピンオフ、カーブアウトなどを促進するガバナンスの強化
- クラウドファンディングによる新たな起業支援モデルの構築等
ベンチャー有識者会議の委員は、WiL CEOの伊佐山元氏、経営共創基盤の冨山和彦氏、MOVIDA JAPAN代表取締役の孫泰蔵氏、ディー・エヌ・エー取締役ファウンダーの南場智子氏、早稲田大学ビジネススクール教授の長谷川博和氏、グロービス経営大学院学長の堀義人氏、ボストンコンサルティンググループ日本代表の御立尚資氏、和える 代表取締役の矢島里佳氏の8名。
本とりまとめを受け、今後、経済産業省でもベンチャー支援策についての検討を進めるとしている。