富士フイルムは2014年4月10日、磁気テープを使ったデータの長期保管(アーカイブ)サービスである「d:ternity(ディターニティ)」を開始した。ユーザーはデータを記録した磁気テープを富士フイルムのデータセンターに輸送する。富士フイルムはユーザーの磁気テープをテープライブラリーに保管し、ユーザーの求めに応じてデータを取り出せるようにする。

 ユーザーと富士フイルム間のデータのやりとりは、基本的には磁気テープの物理輸送だが、ユーザーが取り出すデータが2ギガバイト以下の場合は、オンラインでもデータを取り出せるようにする。ユーザーは富士フイルムが提供するWebサイトから、取り出したいデータをセルフサービス方式で選択できるのが特徴だ。磁気テープには「LTO Ultrium 6 データカートリッジ」を使用する。

 データの保管料金は、9.4テラバイト(DVD2000枚相当)の場合で1カ月4万7000円。データを取り出す際には、別料金が発生する。富士フイルムでは、「28ペタバイトのデータを12年間保管した場合、初期投資やメンテナンス費用、消費電力など全てを含めたコストを比較して、データのアーカイブにハードディスクドライブを使うのに比べて、データ保管コストは26分の1になる」と説明する。

 また富士フイルムは、KADOKAWAの「角川書店ブランドカンパニー」が、同サービスの第1号ユーザーになると発表している。KADOKAWAは、黒澤明監督の映画「羅生門」のデジタル復元データの保管に同サービスを使用する。