モバイル関連の特許を巡って係争を繰り広げてきた米Appleと韓国Samsung Electronicsの間で、また新たな裁判が現地時間2014年3月31日に開始されたと、複数の米メディア(BusinessweekWashington Postなど)が報じた。舞台はカリフォルニア州北部の米連邦地方裁判所で、Appleは5件の特許を、Samsungは2件の特許を、それぞれ相手に侵害されたと主張している。

 両社は、2011年4月にAppleがSamsungを特許侵害で提訴したことを発端に訴訟合戦を展開。2012年8月に同地裁はSamsungによる特許侵害行為を認め、10億5000万ドルの損害賠償支払いを命令し(関連記事:AppleがSamsungとの特許侵害訴訟で勝利、損害賠償は10億5000万ドル)、その後一部について見直しが行われ約9億3000万ドルに減額された。Appleは一部Samsung製品の恒久的差止を求めたが、この要求は退けられた(関連記事:AppleによるSamsung製スマホの販売差止要求、地裁が棄却)。

 今回始まった審理では別の特許を問題にしており、対象製品には新しいモデルが含まれている。Appleは、特定のデータを識別してリンク化するデータタッピング機能、バックグラウンドでのデータ同期機能、音声アシスタント「Siri」に使われるユニバーサル検索機能、オートコンプリート機能、スライド式ロック解除(slide-to-unlock)機能に関する5件の特許をSamsungに侵害されたと主張し、20億ドルの損害賠償を要求している。

 一方Samsungは、ビデオ伝送と画像ファイル整理に関する2件の特許をAppleに侵害されたとし、700万ドルの損害賠償を求めているという。

 Appleが対象製品として挙げたのは、「Galaxy SIII」「Galaxy Note II」をはじめ、「Galaxy SII」「Galaxy Note」「Galaxy Nexus」「Galaxy SII Epic 4G Touch」「Galaxy SII Skyrocket」「Galaxy Tab II 10.1」「Stratosphere」「Admire」など。

 Samsungは、「iPhone 5」「iPhone 4S」「iPhone 4」「iPad mini」「iPad 4」「iPad 3」「iPad 2」「iPod touch(第5および第4世代)」「MacBook Pro」を対象としている。

 Wall Street JournalNew York Timesによると、今回の裁判を「AppleとGoogleの対決」と見る向きも多い。Samsungは、Appleが主張する5件のうちslide-to-unlock機能以外は、Googleから供与されたAndroidに実装されている機能で、しかもiPhoneがリリースされる前にGoogleが開発していたものだ、としている。また、Samsungが主張する2件の特許はSamsung自身の発明ではなく、発明者から取得したものだという。

 なお、初回審理に先立ち、米国連邦司法センターが作成した陪審員向けの特許に関する解説ビデオにApple製品が登場するため、同ビデオの上映にSamsungが異議を申し立てたが、これは却下された(CNET News.comの報道)。