内閣府は2014年3月31日、社会保障・税番号(マイナンバー)制度を支える中核システム「情報提供ネットワークシステム」の設計・開発業者を一般競争入札で決定した。NTTコミュニケーションズを代表とし、ほかにNTTデータと富士通、NEC、日立製作所が参加するコンソーシアムが落札した。落札金額は税抜き114億円である(8%の消費税込みでは123億1200万円)。

 今回の入札に提案を提出したのは「5社で構成するコンソーシアムだけだった」(内閣府会計課)という。国内ITベンダーのうち、政府の大規模システム開発を請け負えるだけの体力を持つ大手5社がそろって手を組むという異例の展開で、競争なく落札者が決定した。

 一方、落札価格の決定までには何度かの手順を踏んだ。コンソーシアムが初回に提示した金額128億円(税抜き)が、政府側が見積もった予定価格を上回っていたからだ。コンソーシアムは2回目に125億5000万円、3回目に123億5000万円を提示したものの予定価格を下回らず、最終的に相対交渉を経て落札金額114億円での随意契約で合意した(全て税抜き金額)。なお予定価格は業者側など外部には一切公表しない。

 当初、開札は3月28日を予定していたが、5社の役割分担など提案内容を再度精査したこともあり3月31日にずれ込んだ。調達仕様を作った内閣官房の担当分野で「これほどの大規模システム開発プロジェクトの入札参加者が、企業コンソーシアムただ1者になるのは例外的だった」(内閣府会計課)ためである。

 NTTコムなど5社は、情報提供ネットワークシステムのほかにも一部のマイナンバー向けシステムで5社コンソーシアムを組んで入札に参加している。総務省管轄の地方自治情報センター(LASDEC、2014年4月1日より地方公共団体情報システム機構に改組)が調達を担当した、個人用のマイナンバーを生成させる「番号生成システム」で、やはり単独の入札者となり同案件の受注を獲得している(関連記事:マイナンバーの生成システムは69億円で構築、NTTコムなど「大手5社連合」が落札)。