米Wall Street Journalは現地時間2014年3月27日に、米Amazon.comが広告付きのメディアストリーミングサービスを計画していると報じた。メディア企業からライセンスを受けたテレビ番組や、自社オリジナルの番組に加え、ミュージックビデオを無料配信するという。Amazon.comは数カ月以内にサービスを開始する可能性があると同紙は伝えている。

 Amazon.comでは現在、商品配送優遇プログラム「Prime」の会員に対し、約4万本の映画/テレビ番組を追加料金なしで視聴できるストリーミングサービス「Prime Instant Video」を提供している。Wall Street Journalによると、新サービスはこの戦略とは異なる。同社はネット通販企業からマルチメディアの一大勢力に変貌しようとしており、広告付きビデオサービスはその一環という。

 また同社には、一般向けのビデオ配信サービス「Amazon Instant Video」がある。同サービスはパソコン、タブレット端末「Kindle Fire」シリーズ、iOS向けアプリケーション、「Xbox 360」などのゲーム機、他社製STBやテレビなどで利用できる。しかし今後はこの形態に変化が表れると同紙は伝えている。

 Amazon.comは3月27日に、翌週ニューヨークで開催するイベントの招待状を報道関係者に送った。ここでかねて噂されていた映像配信端末を発表すると見られている。Amazon.comは自社専用端末を用意し、米Googleの「Chromecast」や米Appleの「Apple TV」などの他社端末に対抗するという(関連記事:Amazon.com、3月に映像配信端末を発売、米メディアの報道)。

 Amazon.comがどのような形で広告付きストリーミングサービスを提供するのか具体的なことは分かっていない。その一方でWall Street Journalは事情に詳しい関係者の話として、新サービスや映像配信端末は先ごろ値上げを発表した「Prime」の会員つなぎとめに向けた取り組みでもあると伝えている。このほかAmazon.comは、新サービスが商品の販売増につながると期待している。従来の購入履歴、検索履歴に、コンテンツ視聴履歴という新たなデータを加えることで、これまで以上に顧客のニーズに合った商品推奨が行えるという(関連記事:Amazon.com、米国で「Prime」の年会費を99ドルに値上げ)。