写真●ViPRについて説明する、EMCジャパン、プロダクト・ソリューション統括部、ソリューション部、ASD担当、石井善志彦氏
写真●ViPRについて説明する、EMCジャパン、プロダクト・ソリューション統括部、ソリューション部、ASD担当、石井善志彦氏
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 EMCジャパンは2014年3月26日、異機種ストレージが混在した環境において、サーバーへのストレージボリュームの割り当て作業を容易にするソフトの新版「ViPR 1.1」を発表、同日提供を開始した。新版では、データ領域だけでなくシステムブート領域を同ソフトから割り当てられるようにするなど、いくつかの機能を強化した。価格は個別見積もりだが、2013年11月に初版を出荷した時の価格(税別)は、容量100Tバイトの最小構成で270万円から。

 ViPRは、異機種が混在したストレージ環境を抽象化する、ストレージ管理ソフトである(関連記事:EMCジャパン、データパスに介在せずにストレージをプール化するソフト「ViPR」を出荷)。「ViPR Controller」と、「ViPR Data Services」という、互いに役割が異なる二つのソフトウエアで構成する(いずれも、VMware仮想アプライアンス型で動作する)。

ストレージの割り当て作業を代行して自動化

 ViPR Controllerは、サーバーへのストレージボリュームの割り当て作業を簡素化するソフトである。ViPR Controllerの画面上またはAPI経由で、「サーバーAに、速さBのストレージを、容量Cだけ配備する」といった抽象的な指示/リクエストをするだけで、サーバーからストレージを利用できるようになる。この裏では、ViPR Controllerが、管理者に代わって適切なストレージを選び、ストレージ上にボリュームを作成し、スイッチ/サーバーの設定を変更する。

 ViPR Controllerは、ストレージボリュームを割り当てる際に使う運用管理ソフトであり、管理者の作業を代行する。管理者は、個々のストレージの設定方法やスイッチ/サーバーの設定方法を覚えておく必要がない。EMCジャパンによれば、ViPR Controllerを使わない場合、サーバー管理者からストレージ管理者にストレージボリュームの割り当てを依頼すると、割り当てられるまでに数日から数週間の時間がかかるという。これに対して、ViPR Controllerを使うと数分に短縮されるとしている。

 もう一つのViPR Data Servicesは、ストレージに対して、ブロック(SAN)、ファイル(NAS)、オブジェクト(Amazon S3やOpenStack SwiftのREST APIなど)といった各種手段でアクセスできるようにする、ゲートウエイ(アクセス仲介)サーバーである。これにより例えば、ファイルサーバー上のファイルに対してオブジェクトとしてアクセスできるようにする、といった使い方ができる。

ブート領域も自動割り当て、データ仲介ソフトはHDFS I/Fを実装

 今回の新版では、ViPR ControllerとViPR Data Servicesについて、いくつかの機能を追加した。まず、ViPR Controllerについては、データ領域用のボリュームだけでなくOSブート用のボリュームも割り当てられるようにした。また、複数サーバーでクラスターを組んだシステムに対しても、これをサーバークラスターとして認識し、ボリュームを割り当てられるようにした。また、ハイエンドストレージ「VMAX」のリモートレプリケーション機能「SRDF」の設定を行えるようにした。

 一方、ViPR Data Servicesについては、サーバーからのアクセス手段として、HadoopのファイルシステムであるHDFSのインタフェースを追加した。これにより、例えば、ファイルサーバーストレージをHDFSのデータ領域として利用するといった使い方ができるようになった。