米Wall Street Journalは、核安全保障サミットが開かれたオランダのハーグでBarack Obama米大統領が現地時間2014年3月25日、米国家安全保障局(NSA)による大規模な通話記録の収集および保管を終了する方針を明らかにしたと報じた。

 米New York Timesはこの前日、Obama政権が監視活動の改革に向けた法案を準備しているとする米政府高官からの情報を伝えている。

 法案では、米国民の通話履歴データは各電話会社が保持し、データ保存期間は通常の規定より伸ばす必要はない。NSAが特定の通話記録を調べる必要がある場合は、裁判所の許可を取得した上で対象のデータにアクセスできるようにする。大統領は、「NSAの活動に関する懸念を軽減しつつ、我々がテロ攻撃の危険に対処するための行動をとることができると確信している」と述べた。

 ホワイトハウスは今年1月に、NSAの情報収集プログラムを改革する意向を表明していた。政府が大規模データを保有せずに通話の大量メタデータを収集する能力を維持する仕組みに移行するとし、大統領は情報当局や司法省に対して3月28日までに新たな方法を提案するよう指示した(関連記事:米政府、NSAの情報収集活動の改革案を発表)。

 3月28日には、既存のNSAの通話記録収集を認可する現行の裁判所命令が期限を迎える。米国議会が法案を承認すればNSAの通話記録収集活動は終わる可能性があるが、ホワイトハウスは現行の裁判所命令の更新を申請して、90日間延期することを外国情報監視裁判所(FISC)に求める予定だという。

 なお大統領は、監視活動に関して米Googleや米Facebookなど米大手技術企業の最高幹部らと3月21日に会談したと報じられている(関連記事:Obama大統領とGoogleなどIT大手幹部らが会談----米メディアの報道)。FacebookのMark Zuckerberg最高経営責任者(CEO)はその約1週間前、NSAが監視活動においてFacebookのサーバーを装う手口を使用していたとする報道を受け、Obama大統領に抗議の電話を掛けたことを、自身のFacebookアカウントからの投稿で明らかにしている(関連記事:Zuckerberg CEOが当局の監視活動に関して大統領に電話、「政府に失望」)。