JR東日本は2014年3月20日、Suica乗降履歴の外販について、「(個人情報保護法の)法改正を注視しながら検討する必要があるため」として、引き続き外販を見合わせることを明らかにした(関連記事:「Suica履歴販売」は何を誤ったのか)。

 この決定は、Suica乗降履歴を外部に販売することの是非を検討するため、同社が2013年9月に設けた「Suicaに関するデータの社外への提供についての有識者会議」の中間取りまとめを受けたものである。有識者会議は、一橋大学名誉教授の堀部政男氏をはじめとする4人の有識者で構成される。

 取りまとめでは、JR東日本の当初の対応について「事前に十分な説明を行わなかったことなど、利用者への配慮が不足していたことは問題」として批判。Suica IDを匿名IDに変換した上で履歴データを提供していたことについては、「合理的と考えられる範囲での法の解釈運用に努めていたことが認められる」としつつ、特定個人の識別性について「専門家の間でも解釈に幅があり、また、現在、法改正が検討されていること等の状況にあるため、今後の立法化の動向にも注視していく必要がある」とした。

 その上で有識者会議はJR東日本への提言として、

  1. 利用者が安心・納得できるようなデータ提供のあり方を、多角的な観点から検討すべき
  2. ビッグデータが生み出す価値が社会に理解されるよう、公益性の高い統計情報を公表するなどの積極的な活動が望まれる
  3. の2点を挙げた。有識者会議は、引き続き必要に応じてJR東日本に助言を行うという。