米Facebookによる買収に合意した米WhatsAppは現地時間2014年3月17日、ユーザーの懸念払拭を図るため、プライバシー最優先の姿勢を強調する声明を発表した。Jan Koum共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は、「ユーザーのプライバシーを尊重することは、われわれのDNAに刻まれている」と述べている。

 FacebookとWhatsAppは今年2月、FacebookがWhatsAppを約160億ドルで買収することで合意したことを発表した(関連記事:Facebook、メッセージングアプリ「WhatsApp」を約160億ドルで買収へ)。WhatsAppは米Yahoo!の元従業員2人が設立したベンチャー企業で、iOS、Android、 BlackBerry、 Windows Phone、Symbian向けにアプリケーションを提供している。

 利用開始2年目から料金を取るサブスクリプション方式のWhatsAppは、氏名、住所、電子メールアドレスといった個人情報を取得せず、広告を表示しないビジネスモデルが受け入れられてきた。月間ユーザーは4億5000万人を超え、その70%は毎日アクセスしているという。FacebookのMark Zuckerberg CEOは、買収後もWhatsAppを独立事業として維持し、ビジネスの変更は無いと明言している(関連記事:[MWC2014]「WhatsAppは独立したビジネス」、FacebookのザッカーバーグCEOが強調)。

 しかしWhatsAppが方針を変えてユーザー情報をFacebookに渡す可能性があるとの不安がユーザー間に広がり、プライバシー擁護団体などは同買収計画を調査するよう米連邦取引委員会(FTC)に要求している(関連記事:米プライバシー団体ら、FacebookのWhatsApp買収についてFTCに調査を要求)。

 Koum CEOはこうした事態を受け、「不正確かつ軽率な情報が出回っているため、誤解を解きたい」としてWhatsApp公式ブログに声明を投稿。ウクライナ(旧ソビエト連邦)で生まれ育った際の経験について触れ、「1980年代、ソ連国家保安委員会(KGB)に監視されているという不安無しに電話で会話することはできなかった」と述べ、これがのちに10代で米国に移った理由の1つでもあるとした。

 同氏は最後に「間違えないで欲しい。Facebookとの提携によって、WhatsAppを現在の地位に押し上げたビジョンを侵すことはしない」とユーザーに訴えた。

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