英国の科学者でWebの発明者でもあるTim Berners-Lee氏は現地時間2014年3月12日、元米中央情報局(CIA)職員のEdward Snowden氏の内部告発をきっかけに米英政府による監視活動が次々に明らかになっていることを受け、世界的な憲法、いうなればデジタル権利章典の策定が必要だと呼びかけた。

 Web誕生25周年を迎えたこの日、英Guardianの取材に対しBerners-Lee氏は、「Webは政府や企業が行使する影響力からますます攻撃を受けるようになっている」と懸念を示し、Webのオープン性と中立性を守るための新たな世界規模のルール、つまりオンライン版マグナカルタ(大憲章)の必要性を強調した。

 同氏は、「我々の権利はあらゆる側面でますます侵害されているが、そのことに我々は慣れてしまっている。25周年を機に、Webを我々自身の手に取り戻し、今後25年に我々が目指すWeb(the web we want)を定義する」と述べた。

 オンライン版マグナカルタ計画は、開かれたインターネットを推進する取り組み「Web We Want」の一環だとしている。

 また同氏は英BBC Radioのインタビューで、インターネットを使った犯罪を撲滅するための能力が政府に必要であることを認めた上で、「米国家安全保障局(NSA)や英政府通信本部(GCHQ)などの諜報機関や、個人データを収集する組織を監督するさらに大きな監視機能が必要」と説明した。

 Berners-Lee氏は以前からSnowden氏を支持し、同氏の行為を「公共の利益」と発言している(英Reutersの報道)。NSAやGCHQによる盗聴活動については「検閲より陰険だ。人々は恐怖心からサービスを使わないようになってしまう」と非難している(米Wall Street Journalの報道)。