「2020年までにナレッジワーカーの大半のキャリアパスは、スマートマシンによって良くも悪くも破壊される」――。

 2014年3月11日、ガートナー エグゼクティブ プログラム エグゼクティブ パートナーの小西一有氏は、都内で開催された「ガートナー エンタープライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット2014」の基調講演に登壇し、このように切り出した(写真)。小西氏によれば、デジタル産業革命により「ホワイトカラーの16%が職を失う」と言う。ショッキングな話だが、小西氏は「だからこそビジネスプロセス志向が重要になる」と語る。

写真●ガートナー エグゼクティブ プログラム エグゼクティブ パートナーの小西一有氏
写真●ガートナー エグゼクティブ プログラム エグゼクティブ パートナーの小西一有氏
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 例えば、製造業であれば製造・出荷・販売といったビジネスの「機能」ごとに、「ここが合理化されて人が減る」と考えてしまうと、ともすれば後ろ向きになりがちだ。しかし、ビジネスの全体像をとらえ「合理化効果をどう生かせば顧客価値を最大化できるか」という発想に切り替えていくべきだとする。ビジネスをプロセスでとらえて全体を見渡し「最適化を図る」ことで、成長のためのシナリオも新たに描ける。ビジネスの最終的な目的を達成できると言うのだ。

 小西氏は講演の中で、まず「ビジネスプロセス志向とは何か」について解説した。プロセス志向に対比するコンセプトとして「IT志向」を示し、多くの企業がITを導入する際に「アプリケーション設定」から「アドオン開発」「テスト実行/バグ修正」といった典型的な手順を踏んでいる現状を説明。IT導入にかかる手順、費用とそれによって生み出されるコストダウンといった効果だけにしか着目しなければ、「結局、ITに求められる価値が『早く・安く』になってしまう」(小西氏)と指摘した。

 そこを、「ITがビジネスの差異化・革新にどうつながるのか」といった目線に切り替えることがビジネスプロセス志向だと言う。「これからは、ITの価値をビジネスプロセス志向で表現することが大切」(小西)。ビジネスの価値を最大化させるIT投資の実現には、ITがビジネスプロセスをどう支援するのかを考えることが重要という指摘だ。