米誌「Newsweek」のデジタル版は、仮想通貨「Bitcoin」の考案者を特定したとする同誌記事の信憑性を巡って疑問の声が上がっていることについて、「記者と記事(の信憑性)を強く支持する」との声明を現地時間2014年3月7日に発表した。

 Bitcoinは、「Satoshi Nakamoto(中本 哲史)」を名乗る人物の論文をベースに開発され、2009年に運用が始まった。Newsweekは3月5日に、このSatoshi Nakamoto氏を見つけたとして、直接対面したときの様子を含む取材記事を発表。大分県別府市で生まれ、1959年に米国に移住した64歳の日系人男性、Dorian S. Nakamoto氏だと報じた(関連記事:Bitcoinの発案者、Satoshi Nakamoto氏に直接取材---Newsweek誌の報道)。

 しかし、男性は3月6日に米Associated Press(AP通信)が行ったインタビューにおいて、自身がBitcoinの考案者ではないと否定。「Newsweekの記者が3週間前に連絡してくるまで、Bitcoinのことは聞いたことがなかった」と述べたという。男性は出生時に付けられた名前がSatoshi Nakamotoであることや、軍事契約事業者で働いていたことなど、自身に関する情報は認めているが、Bitcoinとの関係は否定した(3月6日付けのForbesなどの報道)。このためNewsweek記事の真偽について波紋が広がり、記事を書いたLeah Goodman記者に対する批判も寄せられている。

 これを受け、Newsweekは「Goodman記者の調査は、当誌が80年以上よりどころにしてきた高い編集および倫理基準にもとづいて行われた。報じられた数々の事実は、Bitcoinの立ち上げにおける男性の役割を指し示している」と主張した。

 しかしWall Street Journalは、P2P Foundation関連のオンラインフォーラムに「I am not Dorian Nakamoto(私はDorian Nakamotoではない)」というメッセージが、Satoshi Nakamotoのアカウントで投稿されたとの情報を伝えている。そのアカウントは、Bitcoin考案者が2009年2月にBitcoinソフトウエアの初期バージョンを公開した際に使用したものと同じだという。