写真1●NTTドコモによるNPO法人支援プログラムの概要
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写真2●ジャスト・ギビング・ジャパンの佐藤大吾代表理事
写真2●ジャスト・ギビング・ジャパンの佐藤大吾代表理事
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 NTTドコモは2014年3月5日、東日本大震災の被災地で復興を支援するNPO法人などに向け、個人からの寄付で活動資金を集めるための支援プログラムを2014年4月から開始すると発表した(写真1)。プロモーション支援のほか、クラウドファンディングサイト「JustGiving」を運営するジャスト・ギビング・ジャパンと連携し、個人が携帯電話で寄付できる環境を整備する。

 「ドコモ ケータイ払い」を通じ、電話料金と合算払いでNPO法人に寄付できるようにするほか、2014年6月をメドに決済用口座「ドコモ口座」での支払いにも対応させる。利用者は、暗証番号4ケタの入力だけで寄付を行える。

 NTTドコモ仙台支局で開催した発表会では、ジャスト・ギビング・ジャパンの佐藤大吾代表理事が登壇し、NPO法人などをめぐる個人寄付の現状を説明した(写真2)。

 佐藤氏によれば、寄付全体のうち個人による寄付の割合は、米国やイギリスは7~8割と高い一方、日本は5割と低い。「日本の企業はGDP比で見れば、他国に負けないレベルの寄付をしている。より伸びしろがあるのは個人の寄付だ」(佐藤氏)。

 ではなぜ、日本では個人による寄付が少ないのか。過去には、寄付控除制度の違いがボトルネックと指摘されていたが、「2011年6月の法改正により、日本の制度も米英と比べても遜色ない水準になった」(佐藤氏)という。認定NPOや公益法人に寄付した場合、寄付した額の半分ほどが還付される。

 現時点で、日本と米英との格差として最も大きいのは「『モバイル寄付』の対応だ」と佐藤氏は指摘する。米英では既に、携帯電話から寄付をする習慣が確立している。「寄付は感情から行うもの。『支援したい』という感情が高まっているうちに寄付を受け付けないと、気持ちが冷めてしまう」(佐藤氏)。

 これまで日本では、NPO法人への寄付を目的としたモバイル決済機能はなかなか現れなかった。モバイル決済はクレジットカードと同じく後払い決済であり、NPO団体への与信が認められにくい点、返金請求時の対応などがネックになっていたという。

 NTTドコモをはじめ携帯電話各社が「モバイル寄付」を解禁することで、日本でも個人による寄付が広まる可能性がある。「まだ完全ではないが、大きな一歩だ」と伊藤氏は語った。