文化審議会 著作権分科会は2014年3月5日に第39回会合を開催した。今回の会合では、「著作権法の一部を改正する法律」(2012年6月20日成立)によって刑事罰化された違法ダウンロードに関する規定の施行状況についての調査研究内容が報告された。

 この調査研究では、違法ダウンロードの刑事罰化についてインターネット利用者を対象にしたWebアンケート調査を2013年10月に実施した。2012年10月1日よりも前に有償で販売・配信されている音楽や映像をインターネットから無料でダウンロードした経験がある層で、この調査に応じた回答者(1392人)における違法ダウンロード刑事罰化の認知度は82.3%だった。調査研究を担当した新日本有限責任監査法人は、「認知度の高さは、その経験内容から違法ダウンロードの刑事罰化の問題がより身近で関心が高かったためと考えられる」としている。

 Webアンケートでは、刑事罰化が違法ダウンロードへの抑止効果をどの程度発揮したかも調査した。違法ダウンロードの可能性があると考えられる行動について、以前に実施経験があるとした回答者に2012年10月以降の行動変容を質問したところ、「減った」「やめた」という回答者の割合は比較的高い数値だった。例えば、「ファイル共有ソフトを使用して音楽ファイルや映像ファイルをダウンロードすること」については、68.5%が「減った」もしくは「やめた」と回答した。

 Twitterなどでの投稿件数の調査も行ったところ、違法ダウンロードの刑事罰化がインターネット利用者にとって大きな関心事項という結果が出た。同規定の施行と同時期(2012年9~10月)の主要なニュースの投稿件数と比べると、違法ダウンロード刑事罰化に関するもの(投稿件数は2万552件)が「レスリング女子の吉田選手の国民栄誉賞」(同1万6012件)や「日馬富士が横綱昇進」(1万4262件)を上回った。

 違法ダウンロード刑事罰化に関する規定は、2012年10月1日に施行された。改正法附則第10条では、違法ダウンロード刑事罰に関する規定について、「施行後1年をメドとして規定の施行状況等を勘案して検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講じられるもの」とされている。今回の調査研究は、この改正法附則第10条を受けて、2013年度文化庁委託調査として実施された。

[調査研究の報告書へ]