米Facebookが無人飛行機製造の米Titan Aerospaceを買収する方向で交渉を行っていると、複数の米メディア(Wall Street JournalComputerworldBusinessweekなど)が現地時間2014年3月4日までに報じた。買収が成立すれば、Facebookが主導する世界のインターネット普及促進を目的とした「internet.org」の取り組みを後押しすることになる。両社の交渉を最初に報じたTechCrunchが関係者から得た情報によると、買収額は6000万ドルという。

 Titan Aerospaceは2012年に設立された、ニューメキシコ州に本拠を置く非公開企業。設立者のMax Yaney氏は現在最高技術責任者(CTO)を務めており、最高経営責任者(CEO)には昨年6月に超軽量ジェット機メーカー、米Eclipse Aviationの設立者で元CEOのVern Raburn氏が就いている。Raburn氏は米Microsoft消費者製品部門担当バイスプレジデントや米SymantecのCEOなどを務めた経歴を持つ。

 Titan Aerospaceが手がける無人飛行機は、機体に張りめぐらされた太陽光電池パネルによって駆動し、高度約2万メートル上空を、着陸や燃料補給することなく5年間飛行可能という。すでに実験を実施しているがまだ開発段階にあり、2015年の商用化を目指している。

 Facebookは昨年8月に、世界のインターネット普及促進を目的とした世界的共同体「internet.org」をフィンランドNokia、スウェーデンEricsson、米Qualcomm、韓国Samsung Electronicsなどとともに立ち上げた。現在インターネット接続環境にない約50億人がインターネットを利用可能になるよう、世界的なパートナーシップを通じて課題克服に共同で取り組むとしている(関連記事:Facebook、NokiaやSamsungらと世界のネット普及促進を図る「internet.org」発足)。

 Facebookは無人飛行機を使用して非ネット接続地域にインターネットアクセス環境を提供することに関心を寄せているという。アフリカを手始めとして、Titan Aerospaceの「Solara 60」1万1000機を、衛星のように飛ばしたいと考えている。

 同様に飛行物体を使用したインターネット接続促進を目指すプロジェクトとしては、米Googleが気球を用いる「Project Loon」を2013年6月に発表している(関連記事:Google、気球を使った新興国向け高速接続プロジェクト「Project Loon」を発表)。

 また、無人飛行機の利用に関しては、米Amazon.comが小型無人飛行機による配送システム「Amazon Prime Air」を開発中であることを昨年12月に明らかにしている(関連記事:Amazon.com、小型無人飛行機による配送システムを開発中)。米New York Timesは、Facebookの無人飛行機利用計画はAmazon.comの計画よりは実現性が高いとみている。

■変更履歴
Titan Aerospaceが手がける無人飛行機の高度を約20万メートルとしていましたが、正しくは2万メートルです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2014/4/15 10:06]