2014年3月4日、大阪証券取引所で日経225先物や日経225オプションの売買が一時できなくなった。売買が停止したのは同午前11時5分から11時30分の約25分間。大証は同日夕方に会見を開き、原因はオペレーターによる操作ミスだったと明かし、狩野芳徳常務執行役員は「投資家や参加者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くおわびする」と陳謝した。

 売買停止の原因は、大証のデリバティブ取引システム「J-GATE」が管理する「前場」や「後場」といった市場ステータスの切り替え操作を誤ったことだった。通常はJ-GATEが自動実行するが、今回は手動で作業する必要があり、そこでミスが発生した。

 トラブルの引き金は、4日の午前10時59分に即時約定可能値幅(DCB)を超える注文が入ったことだ。J-GATEは、一定の値幅を超える注文があった場合に、約定を60秒間保留する機能を有している。

 しかし、同機能の発動したタイミングが、J-GATEのステータス切り替え時刻である午前11時と重なった。その場合、ステータスの切り替えは自動実行できない仕様となっており、大証の市場運営部のオペレーターが手動で作業に当たる必要がある。大証によると、このようなケースはJ-GATEが稼働した2011年2月以降、初めてだという。

 作業自体はクリック操作だけで完了でき、コマンド入力などは必要ない。しかしオペレーターが手順を進める際に、選択すべき対象グループを間違え、日経225先物などの3商品が「前場」の二つ先に当たる「プレオープン」というステータスになってしまった。「プレオープン」は、注文は受け付けるものの約定はできない状態なので、そのために売買停止に陥った。

 市場運営部のオペレーターはすぐにミスに気付き、自分たちで正常なステータスに切り替えたという。大証は、「作業マニュアルに一部不明確な箇所があった」と認め、手順書の改善とオペレーターの再訓練によって再発を防止するとした。

 「J-GATE」は2014年3月24日に、東京証券取引所のデリバティブ取引システムである「Tdex+」との一本化を控えており、東証が扱う商品は「J-GATE」に統合する予定だ。(関連記事:日本取引所が次期システム開発を始動)。大証は、今回のトラブルが人的ミスであったことを強調し、「システム自体に不安はない」として、一本化は予定通り実施に踏み切る考えを見せた。統合後は、ステータス切り替え作業は完全自動化にする予定だという。

 大証は2013年3月4日にも、デリバティブ取引システムの障害が原因で、売買を一時停止している(関連記事:大証のデリバティブ売買システムでトラブル、一時全面売買停止に)(関連記事:大証のシステム障害は「日経225オプション」サーバーが原因)。