写真●講演するセコムの木村昌平相談役(写真撮影:井上裕康)
写真●講演するセコムの木村昌平相談役(写真撮影:井上裕康)
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 「処理できないほど巨大で複雑かつ異質なデータ集合を解析することで、従来見えなかった事態や兆候が見えてくる。しかし、(ビッグデータから見えてきた)嗜好・需要の兆候は短期的な見方の可能性がある」。2014年3月4日、日経情報ストラテジーが都内で開催した「データサイエンティスト・ジャパン2014」で、セコムの木村昌平相談役はこう話した(写真)。

 木村相談役は「問われる志と社会正義~セコムのデータ活用・分析の今~」と題して講演。まず木村相談役はビッグデータの効用と限界について触れた。木村相談役は「経営にとって需要動向や顧客嗜好を把握することは極めて重要」としたうえで、「ビッグデータはまさにその武器になり得る」と力を込めた。

 しかし、「ビッグデータが未来を予見する武器になるか」という問いには、「ノー」という見解を示した。ビッグデータから見えてきた兆候は、非常に短期間で変わってしまう可能性が高いためだ。

 木村相談役は「ビッグデータ時代は見えなかった実態が見えてくるだけに、『何が社会にとって正しいのか』『何が人類の未来にとって望ましいのか』、企業の志がますます問われることを知るべきだろう」とし、「未来は予測するものではなく創造するものだ」と断言した。

 講演の終盤で、セコムにおけるデータ活用・分析についても言及した。木村相談役はICT(情報通信技術)を活用した遠隔監視システムやロボット警備システムなどを紹介し、「1.3億個のセンサーによる膨大なデータの蓄積がセコムにとっての最大の資産だ」と語った。