レストラン経営のすかいらーくは、全国の店舗から集めたPOSデータを分析するインフラとして、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータウエアハウス(DWH)クラウド「Amazon Redshift」を採用し、2014年2月に本格運用を始めた。数十億件のデータをRedshiftに投入し、マーケティング施策の効果検証などに活用している。

 すかいらーくの店舗系システムには、1日当たり数百万件分のPOSデータが取り込まれる。これを自動でAmazon Redshiftに取り込み、BIツール「Tableau Desktop」と「Tableau Server」で分析、可視化できるようにした。数年分の過去データも取り込み済みで、扱うデータは数十億件規模になるという。このデータを使い、メニューの併売率の分析やバスケット粗利の計算、クーポンの販促効果、顧客の滞在時間の分析などに活用している。

導入期間もコストも桁違いに低い

写真1●すかいらーくマーケティング本部 ビジネスインサイトグループの神谷勇樹ディレクター

 「アプライアンス型DWHと比べ、導入期間もコストも大きく抑えられる。『今すぐ始めたい』という我々のニーズにマッチした」と、すかいらーくマーケティング本部 ビジネスインサイトグループの神谷勇樹ディレクター(写真1)は語る。

 同社はこれまでBIツール「Hyperion」でメニューの購入量などを集計していたが、併売率の分析など複雑なデータ分析では、POSの生データをCSVデータとして切り出し、Excelで分析していた。このため、1回の分析に数時間~数日を要していた。

 POSデータの分析力を高めるため、すかいらーくがAmazon Redshift導入の検討を始めたのは2013年12月。前職では大手SNS企業でデータ分析を手掛けていた神谷氏は、複数のソリューションを検討した結果、Amazon Redshiftに白羽の矢を立てた。

 「PostgreSQLをベースに、データ圧縮と並列処理でフルテーブルスキャン速度を高める、という思想が分かりやすかった」(神谷氏)という。同氏は週末の時間を使い、試しにAmazon Redshiftのノードを立ち上げてTableauをつなぎ込み、十分な速度で分析できることを確認した。