モバイルに関連する世界中の企業が集まるMobile World Congress 2014(以下MWC2014)には、キャリアや端末メーカーなど、さまざまな日本企業が出展している。そうした日本企業の取り組みからは、何が見えてくるだろうか。

“牛の分娩”にも注目が集まるNTTドコモ

 世界各国の企業が集うMWCには、海外の企業だけでなく、日本の企業も多く参加している。「Xperia Z2」を発表したソニーモバイルコミュニケーションズがその代表的な存在といえるが、他にもキャリアや端末メーカーなど、多くの日本企業が出展しているのだ。

 中でもNTTドコモは、加藤薫社長が基調講演を行うなど、MWCに積極参加している企業の1つ。同社のブースではLTE-Advancedや、その次の世代となる5Gに向けた取り組みを中心として、「dマーケット」などのサービスや、機械間通信(M2M)のソリューションなど、さまざまな取り組みをアピールしている。

 出展内容の多くは、昨年の「CEATEC JAPAN」など、国内のイベントで公開されていたものだ。しかし新しいユニークな取り組みとして注目されているのが、M2Mの取り組みの一環として紹介されている、3G回線を活用した牛の分娩監視システムだという。これは、牛の体内にセンサーを入れることで体温を5分おきにモニタリングし、分娩のタイミングをメールで通知するというもの。この機器により、適切なタイミングで立ち合うことができ、分娩時の事故を92%減らすことに成功したとのことだ。

 最近は牛肉の消費が増えていることから、子牛の値段が高騰している。安全確実な分娩ができるメリットは大きいという。畜産業は海外でも広く実施されていることからニーズは高そうだが、日本と異なり牛舎で飼うのではなく放牧が多いこともあって、GPSの搭載が求められるなど、海外展開する上ではまださまざまな課題を克服する必要があるとのことだ。

MWCに出展しているNTTドコモ。5Gに向けた取り組みのアピールや、ARを用いたウェアラブル端末などさまざまな技術・サービスをアピール
MWCに出展しているNTTドコモ。5Gに向けた取り組みのアピールや、ARを用いたウェアラブル端末などさまざまな技術・サービスをアピール
MWCに出展しているNTTドコモ。5Gに向けた取り組みのアピールや、ARを用いたウェアラブル端末などさまざまな技術・サービスをアピール
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M2Mの取り組み事例として展示されている、牛の分娩監視システム。右の端末で牛の体温を測定、その情報を3G回線で送信して監視する仕組みだ
M2Mの取り組み事例として展示されている、牛の分娩監視システム。右の端末で牛の体温を測定、その情報を3G回線で送信して監視する仕組みだ
M2Mの取り組み事例として展示されている、牛の分娩監視システム。右の端末で牛の体温を測定、その情報を3G回線で送信して監視する仕組みだ
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