写真●宇宙航空研究開発機構(JAXA)の森田泰弘教授・イプシロンロケットプロジェクトマネージャ(撮影:井上 裕康)
写真●宇宙航空研究開発機構(JAXA)の森田泰弘教授・イプシロンロケットプロジェクトマネージャ(撮影:井上 裕康)
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 「厳しいコスト削減という要求が無ければ、イプシロンロケットは飛ばなかった」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の森田泰弘教授・イプシロンロケットプロジェクトマネージャは2014年2月27日、「Cloud Days Tokyo/ビッグデータEXPO/スマートフォン&タブレット/Security」で講演し、プロジェクトの経緯を語った(写真)。

 JAXAは2月28日未明に国産大型ロケット「H2A」の打ち上げを予定している。一方2013年9月に試験機打ち上げを成功させた「イプシロンロケット」はH2Aとは異なるタイプの小型固体燃料ロケットで、重さ300kg程度の小型衛星を搭載できる。

 イプシロンロケットは、さまざまな形で汎用的な工業技術を取り入れてコスト削減を図ったのが大きな特徴だ。ノートパソコン1台(実運用では予備機を含めて2台)で制御でき、打ち上げ前の検査工程を自動化する「自律診断」機能を備える。

LinuxパソコンとC++で打ち上げ制御

 森田教授はイプシロンロケットのシステム構成について詳細に解説した。具体的には、制御用パソコンではLinuxとC++言語で開発したプログラムが動作し、ロケット本体に搭載するコンピュータではC言語の自律診断制御プログラムが動く。

 パソコンと打ち上げ前のロケット本体の間は一般的なイーサネットで通信する。イーサネットさえあれば打ち上げ制御ができるので、2013年9月の打ち上げ時は、打ち上げ台から2km離れた場所に設置したノートパソコンから遠隔操作した。

 IT業界関係者が多い来場者に向けて、森田教授は「イプシロンロケットで使っているのは、皆さんにとってはごく当たり前の技術だ。IT技術者にもっと参画していただければイプシロンロケットさらに良くなる」と語った。