米Qualcomm社はLTE向けの周波数を使って近距離にいる端末同士が通信する「LTE Direct」を提唱している。「Mobile World Congress 2014」(スペイン・バルセロナ、2014年2月24~27日)で同社は実際の電波を使ったライブデモを行った。
LTE Directは、FDD-LTEの場合は上りの周波数帯域の一部のタイミングを使って基地局を介さない通信をする技術。半径500m程度のエリア内にある端末同士が情報を交換できる。Qualcomm社は、例えば、周囲にいる知り合い同士が情報を交換したり、店舗から周囲にいる特定ユーザーに対してクーポンを送ったりするという使い方を示していた。Bluetooth Low Energyや無線LANを使って実現する場合と比較して、広い範囲で大量のユーザーが通信できるとする。
デモでは、電波暗室に入れた端末を電波暗室箱から出すと、他の端末に認識され、箱に入れると認識されなくなること、近くの店舗から利用者のプロフィールに応じて広告が配信されることなどを示していた。
LTE Directは2014年後半に策定される「3GPP Release 12」に含まれる見込み。既にドイツDeutsche Telecom社(T-Mobile)が、Qualcomm Technologies社の半導体を使った端末を使って試験サービスを開始することを表明している。