写真●SAS Institute Japanマーケティング&ビジネス推進本部ビジネスアナリティクス推進グループ部の山下克之部長<br>(写真:井上 裕康)
写真●SAS Institute Japanマーケティング&ビジネス推進本部ビジネスアナリティクス推進グループ部の山下克之部長<br>(写真:井上 裕康)
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 「ユーザー企業は、ビッグデータの専門家を内製化することが望ましい」――。

 SAS Institute Japanでマーケティング&ビジネス推進本部ビジネスアナリティクス推進グループ部長を務める山下克之氏は2014年2月26日、都内で開催中のIT展示会「Cloud Days Tokyo/ビッグデータEXPO/スマートフォン&タブレット/Security」に登壇し、企業がビッグデータにどう取り組むべきかを提言した(写真)。

 山下氏は講演でまず、経営でデータを活用する手法には、既に起こったことに対処するための「ビジネス・インテリジェンス(BI)」と、将来起こることを見通して踏み出すための「アナリティクス」の2種類があると指摘。ビッグデータで注目を集めている「アナリティクス」という概念は、将来予測を目的にしていることが以前からあるBIとの違いとした。

 山下氏によると、アナリティクスには4種類あるという。そのうちの一つである「時系列予測」は、ある傾向が続いた場合の将来像を見定めるもの。小売業が商品需要を予測して不良在庫や欠品を減らすことが代表的な活用例だ。ほかの三つは、最善解を見つけ出す「最適化」、次に起こる頻度や影響を見る「予測型モデル」、事象の背景を探る「統計解析」で、同様の活用例があるという。

 例えば、ある通信販売会社は「予測型モデル」を活用して、キャンペーンのために送付するダイレクトメール(DM)の効果を高めた。予測型モデルを使ってキャンペーンに反応しやすい顧客を選別し、優先的にDMを送付したことで、キャンペーンへの反応率が4%改善。売り上げへの寄与のほか、DMの郵送コストや景品在庫の削減にもつなげたという。

 山下氏は企業がアナリティクスを活用するためには、データを加工、収集、管理する「ITスキル」に加えて、データからパターンや法則を導き出す「分析」スキル、ビジネスの内容を理解する「ビジネススキル」が必要だと指摘。この三つのスキルをバランス良く備えるよう、企業は投資や経営資源をうまく配分する必要があると説いた。投資に対する考え方も従来のITに多かった「TCO(総保有コスト)」から、「ROI(投資対効果)」に着目する必要があるという。