写真●日本IBMの小池 裕幸執行役員(写真:井上 裕康)
写真●日本IBMの小池 裕幸執行役員(写真:井上 裕康)
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 日本IBMの小池 裕幸執行役員(GTS事業本部 スマーター・クラウド事業統括担当)は2014年2月26日、「Cloud Days Tokyo/ビッグデータEXPO/スマートフォン&タブレット/Security」で、「戦略から実践、さらに次のステージへ:ビジネス成長のエンジン、IBMクラウドとは?」と題して講演した(写真)。

 講演の序盤で小池執行役員は、クラウドの目的は2013年度上期くらいまでは主にコスト削減だったが、2013年後半あたりからは“クラウドを使うことによって拡大するビジネスモデルをどう作るか”といった、価値の遡及が広がっていると指摘。プライベートからパブリックまで、5種類を提供しているIBMのクラウドの注力点や注目点を解説した。

 最近の動きとして挙げたのは、今年1月に発表したクラウドへの12億ドルの投資。買収したIaaS事業者である、米ソフトレイヤーの事業を拡張するもの。ソフトレイヤーを買収したのは、世界で1つしかないIaaSであるため。インターネットサービス大手と同様に、インターネットとは別の広帯域の商用オーバーレイネットワークを持つ。これで、世界でビジネスをしたい企業に多大なメリットを提供できるという。

 データセンターでは仮想化サーバーに加え、データベースやストリーミング、ゲームなどに向けチューニングしやすい「ベアメタル」(仮想化していないサーバー)も利用できる。また多数のAPIを持ち、ログを取得したりできるため“透明なクラウド”であるとする。ソフトレイヤーのデータセンターは、「日本国内にデータを置きたい」という日本企業の商慣習への対応として、年内に日本にもオープンするという。

 講演では、ビデオで理化学研究所によるソフトレイヤーの検証事例を紹介した。同研究所はシステムログの解析ツールを用いて、“国内で生成した膨大なログを米国に転送し、インデックスを作成し解析”する処理を検証。「懸念していた国外データセンターへの転送遅延は、実際は殆ど問題なかった」「オンプレミスのソリューションにとって、VMとベアメタルには相当差があるという実感」などが判明したとのことだ。

 小池執行役員が次にポイントとして挙げたのは、オープンクラウドへの取り組み。IBMでは、「オープンな技術要素を組み合わせることで、ベンダーロックインを避ける」「開発者側の意見を取り入れる」などの観点から、4点の取り組みをしている。

(1)オープンな団体を支援してのオープンクラウドの推進
(2)パーツ単位で流通可能なエコシステム作り
(3)パーツを組み合わせてアプリケーションを作れる開発環境の支援
(4)IBM自らのパーツ提供

である。IBMでは、IaaSの部分はOpenStack、PaaSのところはOasisのTOSCAおよびCloud Foundryを支援している。