仮想通貨「Bitcoin」の大手取引所で、東京に本拠を置くMt. Goxが取引の全面停止を発表した。Webサイトには、「当サイトの運営および市場に対する最近の報道と影響を考慮し、当サイトおよびユーザーを保護するため、当分の間すべての取引を停止することを決定した」との告知が掲載されている。「綿密に状況を調べ、対処する」としているが、復旧の見通しは示されていない。

 複数の米メディア(Wall Street JournalBusinessweek)の報道によると、告知が掲載されたのは現地時間2014年2月25日夜中から26日未明にかけてと見られる。Mt. Goxは、技術的な不具合を理由に2月初旬からユーザーによるBitcoin引き出しを停止していた。

 2月23日に同社Mark Karpeles最高経営責任者(CEO)がBitcoinの普及促進団体「Bitcoin Foundation」の理事を辞任。2月24日に同社に関する文書がオンライン上に出回り、セキュリティ侵害によって約74万4000BTC(2月24日の価値で換算すると3億5000万ドル以上)が数週間にわたって不正に引き出され、Mt. Goxが経営危機に直面していると伝えられた。

 2月25日昼には同社サイトがアクセス不能になり、電話や電子メールでも連絡がとれなくなった。同日遅い時間にアクセスが復活したがWebページには何も表示されず、その後、全取引停止の告知が掲載された。Mt. Goxの利用者は現在、Bitcoinの移動、引き出し、使用ができない状況に陥っている。

 Bitcoinを巡る不安が高まる中、Bitcoin関連の6社(Coinbase、Kraken、BTC China、BitStamp、Blockchain.info、Circle Internet Financial)は2月24日、「Mt. Goxのユーザーの信頼が激しく損なわれているのは、1社の行為がもたらした結果であり、Bitcoinや電子通貨業界の価値には影響しない」とする共同声明を発表している(Coinbaseの公式ブログ)。

 なお、Mt. GoxのTwitterアカウントは残っているが、フィードのコンテンツはすべて削除されている。