クラウディアンは2014年2月25日、Amazon S3互換のオブジェクトストレージソフトの新版「Cloudian ver3.1」を発表した。3月初旬の出荷を予定する。新版では、一定期間が経過したデータをAmazon S3やAmazon Glacierに退避させてストレージコストを削減する“データ自動階層化”の機能を追加した。

 Cloudianは、Amazon S3互換のAPIを備えたオブジェクトストレージソフト。ハードディスクを積んだ汎用のPCサーバーにインストールして利用する。複数台のPCサーバーに処理を分散するスケールアウト構成によって、容量と性能を拡張できる。APIがAmazon S3互換であるため、アプリケーションがデータをAmazon S3に格納している場合、データ格納先をCloudianに指定するだけでストレージを置き換えられる。

 3月に出荷する新版では、データの自動階層化機能を追加する。S3の管理単位であるバケット(ディレクトリーのようなもの)ごとに、Cloudian、Amazon S3、Amazon Glacier(Amazon S3よりも低価格なサービス)の三つのストレージのどこに保存するかをポリシーで定義する。指定した期間が経過したデータをCloudianからAmazon S3に自動的に移動させるといった運用や、機密データだけをCloudian上に保持し続けるといった運用ができる。

 Cloudianにアクセスするアプリケーションからは、Cloudianの背後でデータが階層化されているかどうかを知る必要はない。どのデータがどのストレージに書かれているかはデータのメタデータに書かれており、アプリケーションはCloudianを介してAmazon S3やAmazon Glacier上にあるデータにアクセスできる。データの格納先としては、一度Amazon S3やAmazon Glacier側に移動させたデータが、アクセスがあったからと言って自動的にCloudian側に戻ることはない(Cloudian側にデータを戻すには、明示的にリストアする必要がある)。

 ライセンスは、ユーザー企業向け(サーバー台数ベース)と、プロバイダー向け(容量ベース)がある。価格はオープンだが、ユーザー企業向けの参考価格は、Cloudianを導入するサーバー1台当たり年額70万円程度。