米Facebookによる買収に合意した米WhatsAppは、音声通話サービスを始めると発表した。同社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるJan Koum氏が、スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2014」で、現地時間2014年2月24日に明らかにしたと複数の海外メディア(米Wall Street Journal米New York Times米Bloombergなど)が報じた。

 それによると、WhatsAppは2014年第2四半期(4~6月)に無料の音声通話を始める予定。まずは米GoogleのAndroidと米AppleのiOS向けサービスを開始し、その後Windows PhoneやBlackberryなどにも広げていく。

 WhatsAppのアプリケーションは、テキストのほか、写真や動画、音声ノートをユーザー間で送受信できるが、音声通話の機能はない。同社の月間ユーザー数は現在4億6500万人。これらユーザーへのサービスを拡充することで、同社はさらに規模を拡大したいと考えている。Koum CEOはユーザー数を10億~20億人に増やしたいと述べた、とWall Street Journalは伝えている。

 またBloombergは、オランダKPN傘下のドイツの携帯電話会社E-PlusとWhatsAppが提携し、共同ブランドのサービスを立ち上げると報じている。詳細については、明らかになっていない。E-Plusは声明で、WhatsAppにとって最初の仮想移動体通信事業(MVNO)契約になる、と述べている。

 Facebookは2月19日、同社がWhatsAppを買収することで合意したと発表した。この買収は、40億ドルの現金と120億ドル相当のFacebook株で実施。買収完了後は4年にわたって、WhatsAppの創業者や社員に30億ドル相当のFacebook株を付与する。これらの合計額は約190億ドルで、Facebookが2012年に買収した写真共有アプリ「Instagram」の約20倍の規模になる(関連記事:Facebook、メッセージングアプリ「WhatsApp」を約160億ドルで買収へ)。

 WhatsAppは買収後も独立したブランドを維持し、これまで通りサービスを継続する。Mobile World Congressの会場で、Jan Koum CEOはこの買収について触れ、噂されている事業モデルの変更や広告導入を改めて否定した、とNew York Timesは伝えている。