米Qualcomm社は、車載向けに下り最大300Mビット/秒のLTE-Advanced Category 6に対応したモデムIC「Gobi 9x30」を発表した(ニュース・リリース1)。20nm世代の半導体プロセスで製造する。

 同社は、同じく20nm世代の半導体プロセスで製造するLTE-Advanced対応のモデムIC「Gobi 9x35」を2013年11月に発表している(Tech-On!関連記事1)。こちらは、スマートフォンやタブレットといったモバイル機器など向けである。今回のGobi 9x30はその車載機器向け版である。そのGobi 9x30は、同社が2014年頭の「2014 International CES」で発表した車載向けプラットフォーム「Snapdragon Automotive Development Platform」(Tech-On!関連記事2)の一角をなす。

 CESの発表の際には同プラットフォームのモデムチップは「Gobi 9x15」だったが、今回、最新のGobi 9x30になり、LTE-Advancedのサポートが可能になった。高速化したと共に、最大40MHzのキャリアーアグリゲーションがLTE-FDDとLTE-TDDの双方で行える。CESの際に発表された車載インフォテインメント機器向けのアプリケーションプロセッサーIC「Snapdragon 602A」や2ストリームの802.11ac対応無線LAN用IC「QCA6574」などと共にGobi 9x30は利用されるとみられる。

 Gobi 9x30は現在サンプル出荷中である。Qualcommはスペインのバルセロナで開催中の「Mobile World Congress(MWC) 2014」でGobi 9x30およびGobi 9x35のデモンストレーションを実施する(ニュース・リリース2)。

64ビットコアを8個集積のSnapdragon

 さらにMWC 2014でQualcommは、LTE Category 4に対応したモデム回路とアプリケーション処理回路を混載した統合プロセッサーICを2製品披露した。「Snapdragon 610」と「Snapdragon 615」である(ニュース・リリース3)。

 Snapdragon 610とSnapdragon 615はARMv8アーキテクチャの64ビット・プロセッサー・コアをベースにしたICで、前者は同コアを4個、後者は8個集積する。同社は、ARMv8アーキテクチャのプロセッサーコアをベースにした「Snapdragon 410」を2013年12月に発表している(Tech-On!関連記事3)。Snapdragon 610とSnapdragon 615の発表で、ARMv8アーキテクチャの64ビット・プロセッサー・コアをベースにしたSnapdragonは3製品になった。なお、Snapdragon 610とSnapdragon 615のGPUコアは「Adreno 405」である。

 Snapdragon 610および615を搭載したQualcomm Reference Design(QRD)は2014年第4四半期に利用可能となる予定。また両ICとも、2014年第3四半期にサンプル出荷され、2014年第4四半期には商用端末が発売になる予定だという。

  Qualcommは、MWC 2014で3G/4G LTEマルチモードモバイル端末向けにCMOSパワーアンプおよびスイッチを統合した「QFE2320」および「QFE2340」も発表した(ニュース・リリース4)。どちらも中国ZTE社の協力で開発され、ZTEの最新スマートフォンの「Grand S II LTE」に搭載されるという。QFE2320にはアンテナスイッチとマルチモード・マルチバンドのパワーアンプが統合され、QFE2340にはトランスミッター/レシーバー・モード・スイッチとマルチモード・マルチバンドのパワーアンプが統合されている。