写真●日本ユニシスの社会基盤事業推進事業部長 八田泰秀氏
写真●日本ユニシスの社会基盤事業推進事業部長 八田泰秀氏
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 日本ユニシスは2014年2月20日、本社内でセミナーを開催し、社会基盤事業推進事業部長である八田泰秀氏が、医療・健康事業の戦略に関して説明した(写真)。同社では、医療や健康などに関連する事業を「社会基盤事業」と呼んでいる。

 セミナーは二部構成。前半では、同社が新潟県佐渡市を舞台に手掛けてきた、地域医療連携システム「さどひまわりネット」について解説した。2013年4月に稼働したこのシステム、運営主体は特定非営利活動法人の佐渡地域医療連携推進協議会、要件定義支援はバーチャレクス・コンサルティングで、設計・構築を日本ユニシスが担当した。

佐渡島での地域医療連携、人口の20%が加入

 特徴は、電子カルテではなく「レセプト」情報をベースにしたこと。レセプトとは、医療機関が健康保険組合や市町村に対し、診療内容や処方薬に応じた費用を請求する明細書。電子カルテのように詳細な症状まではわからないが、検査や診療、処方薬についての情報が記載されている。これによって、電子カルテに投資する余力のない小規模病院や診療所、歯科医院、介護施設などをネットワーク化することに成功した。

 こうした参加施設から、情報はクラウド上にあるサーバーに送信される。データ収集・転送は、各医療機関に設置するノートPC「ネットワーク接続クライアント」で自動的に実行。定期的にレセコンなどのシステムからデータを抽出し、VPNを介してデータを転送する。ニュージーランドのオライオン・ヘルスが開発した医療情報の統合管理ソフト「RhapsodyIntegration Engine」で、各システムから転送されてくるデータを解釈し、事前に定義した変換テーブルを基に標準フォーマットに変換、データベースに格納する。

 参加施設数は、2014年1月15日現在、病院6(100%)、診療所14(67%)、歯科12(52%)、調剤薬局14(74%)、介護施設など27(77%)で、参加患者数は1万1485人(人口比19%)。八田氏によると「2月中に、参加患者数が人口比20%を突破した」という。