日本OSS推進フォーラムは2014年2月21日、「第9回 日本OSS貢献者賞」と「同奨励賞」の受賞者を選定した。貢献者賞には海外浩平氏、成瀬ゆい氏、羽鳥健太郎氏、藤野圭一氏の4氏を、奨励賞には8名の個人を選定している。2月28日の「オープンソースカンファレンス2014 Tokyo/Spring」(会場:明星大学)で授賞式を開催する。

 日本OSS貢献者賞は、影響力のあるオープンソースソフトウエア(OSS)開発プロジェクトを創設・運営した開発者や、世界的なプロジェクトで活躍する開発者、OSSの普及に貢献した人物を表彰する。日本OSS奨励賞は、OSSの開発や普及に顕著な活躍をした若手などの個人やグループを表彰する。

 日本OSS貢献者賞には、Linuxカーネルのセキュリティ強化機能「SELinux」など様々なOSSのセキュリティ機能の開発に貢献したほか、最近はリレーショナルデータベースである「PostgreSQL」の性能をGPUによって向上する「PG-Strom」の開発に取り組んでいる海外浩平氏、プログラミング言語「Ruby」の多言語化に関する仕様策定や実装に貢献した成瀬ゆい氏、地域Linuxコミュニティの「小江戸リナックスユーザグループ(小江戸らぐ)」の主催者である羽鳥健太郎氏、アプリケーションサーバー「Apache Tomcat」の高可用性機能の開発に貢献し、2010年からTomcatのコミッターを務める藤野圭一氏の4氏を選定した。

 日本OSS奨励賞には、運用監視ツールである「ZABBIX」のコミュニティ「ZABBIX-JP」のスタッフとして勉強会やセミナー運営に貢献した池田大輔氏、分散バッチ処理ソフト「Hadoop」のリソース制御機構「YARN」の高信頼性機能の開発に貢献した小沢健史氏、Hadoopの啓蒙活動やログ収集ツール「Fluentd」の開発に貢献した田籠聡氏、次世代HTTPである「HTTP/2.0」のサンプル実装を開発した辻川竜宏氏、LinuxカーネルのI/O性能を向上する新方式として「dm-writeboost」を考案した早川輝氏、高可用性クラスターソフト「Pacemaker」とPostgreSQLの連携機能を開発した松尾隆利氏、組み込み用プログラミング言語「mruby」の開発に貢献した松本亮介氏、スマートフォンやタブレット、Mac、Windows、Linuxに対応したユーザーインターフェース(UI)開発フレームワーク「Qt」のコミュニティ活動に貢献している高校生の盧亦■(こざとへん、豆の上に山)(ろ いけい)氏の8氏を選定した。

 また今回、日本OSS貢献者賞の「特別賞」として、本サイト「ITpro」や「日経オープンシステム(現:日経SYSTEMS)」などで、1990年代からOSS/Linux関連の取材や記事執筆活動を続け、2013年12月26日に他界した高橋信頼氏(ITpro 副編集長)が選定された。

発表資料

■変更履歴
記事掲載当初、第3段落において「PG-Strom」を「PG-Storm」、第4段落において「豆の上に山」とすべきところを「豆の上に土」と誤って表記しておりました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2014/02/24 18:30]