総務省は2014年2月18日、情報通信審議会 情報通信政策部会の下に設けられた「イノベーション創出委員会」の第12回会合を開催し、2014年度に計画しているICT(情報通信技術)向けのイノベーション振興策の案を披露した。「変わった発想」を選抜してその研究を助成するなど、異色の内容も盛り込んだ。

 事務局である総務省側が「研究開発のシステム改革に向けた取り組み」として資料にまとめ、委員らに披露した。「挑戦する活動を支援する」「(大学・研究機関や既存の民間企業、ベンチャー企業などの間で)エコシステム形成を支援する」「国家プロジェクトの実施方法を改善する」「民間のリスクマネーを活性化させ誘導する」など八つの改革の枠組みを提案し、具体策の案も提示した。

 中でも奇抜さで目を引いた案が「独創的な人向け特別枠」の新設だ。企業や大学、研究機関など所属を問わず「変わったことを考える人材」「変わったことをする人材」を公募して、1年間の研究費を「上限300万円+間接経費」まで支援する。期間は1年単位だが、繰り返し応募を可能にするという。2014年6月をメドに公募し、同年度は10件程度を採択する計画だ。

 支援事業を推進するため「PM(プロジェクトマネージャ)」を置き、このPMが「変わった発想や人」の選抜から研究の支援・指導に関わる。PMは支援事業の成果に一定の責任も持つ。総務省側は「自らも変わった発想を持ち(その成果や事業化などで)実績を挙げた人をPMに指名したい」としている。

 委員からは「研究が計画通り進まなくても(支援事業のスケジュールや規定など)枠にはめないようすべき」など、総務省案に様々な意見や注文が出た。成果をどの期間でどう評価するかなど詰めるべき点はあるが、事業は実施される方向だ。他の案も含めて総務省が今回提案した政策は、現在開催中の通常国会で審議されている2014年度予算案に計上済みである。