米Appleが昨年、米電気自動車(EV)ベンチャー、Tesla Motorsのトップと会談していたと、複数の海外メディアが現地時間2014年2月17日までに米San Francisco Chronicle紙の記事を引用して伝えた。AppleによるTeslaの買収に向けて、両社の最高経営責任者(CEO)が協議していた可能性があるという。

 San Francisco Chronicleの記事によると、Appleは2009年に米Goldman SachsからAdrian Perica氏を引き抜き、M&A担当チーフに任命した。Appleでは同氏指揮の下、過去2年半にわたり積極的に企業買収を進めてきたが、このPerica氏とTeslaのElon Musk CEOが昨年春にAppleの本社で会談した。この会談には、AppleのTim Cook CEOも参加したと見られている。

 シリコンバレーの大手2社の意思決定者を含むこうした幹部級の会議は、Appleが電気自動車のパイオニア企業であるTeslaの買収に、非常に強い関心を持っていることを示唆している、と同紙は伝えている。

 またSan Francisco Chronicleは、ドイツの投資銀行のアナリストAdnaan Ahmad氏が昨年10月に、Cook CEOと元米副大統領でApple取締役のAl Gore氏に宛てた公開書簡を書き、AppleよるTeslaの買収を勧めた、と伝えている。この中でAhmad氏は、「(Appleは)イノベーションの後押しにつながる、象徴的なパートナーを手に入れられる可能性がある」などと述べている。

 同紙によると、AppleとTeslaには共通点が多いという。両社とも高度なエンジニアリング技術や使い勝手の良いスタイリッシュなデザインをベースにした製品で、ブランドを確立した。製品を所有していない人にとっても、両社はシリコンバレーにおけるイノベーションの象徴だという。

 このほか、San Francisco Chronicleは、先ごろ伝えられた、Appleのメディカル分野への取り組みについても触れている。スマートフォン市場とタブレット市場の成長が鈍化している中、こうした動きは大きなリスクを負ってでも新たな分野に進出したいというAppleの意向を示している、と伝えている(関連記事:次期OS「iOS 8」は健康管理やフィットネス機能が盛りだくさん、米メディア報道)。