写真1●クラウド関連売上高の伸びについて説明するサイボウズの青野慶久代表取締役社長
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写真2●協業を発表した青野社長とウフルの園田崇代表取締役社長
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 サイボウズは2014年2月17日、決算事業説明会を開催した。13日に発表済みの2013年12月期決算では売上高が51億9700万円で、11カ月の変則決算だった前期比で10億5700万円伸びた。当期利益は1億8800万円。クラウド関連サービスの開発や広告宣伝費への先行投資が影響し、売上高当期純利益率は前期の5.9%から3.6%へと低下した。

 この業績について、青野慶久代表取締役社長(写真1)は「クラウドサービスの売上高は2013年12月期に8億9700万円で、前期の2億5900万円から大きく伸びた。既存のパッケージソフトの事業規模を維持しつつクラウドが伸びたため、全体の売上高も伸ばすことができた」と総括した。

 一方で、2014年12月期の業績予想は、売上高は前期比微増の54億円、営業・経常・当期利益はいずれも収支トントンの0円を見込む。1株当たり配当金は2013年12月期の206円(予定)から、無配へと転落する。サイボウズの株価は13日終値の410円から、業績予想発表を受けた14日に一時370円まで急落した。

 市場の厳しい評価に対して、青野社長は「『株主をないがしろにしている』という声は理解できるし、利益0円でいいと思っているわけではない。だが、クラウド事業のライバルである米GoogleやAmazonなどは利益を度外視して投資している。競争していくうえで必要な投資をしていくというメッセージを込めた。中長期的に成長するためには、今は中途半端に利益を出さずに投資するべき段階だ」と述べて理解を求めた。2014年12月期は、クラウドサービスに関連した開発・設備投資を前期よりもさらに積み増し、広告宣伝費も増やす。

 青野社長は、クラウドに強みを持つシステムインテグレーターとの協業をさらに進める方針も示した。具体的に、Salesforce.comやAmazon Web Servicesなどのインテグレーションで実績を持つウフル(東京都港区)との協業を発表。ウフルの園田崇代表取締役社長(写真2右)は、「Salesforce.comの導入案件を1500以上手がけてきたが、最近は『システムのこの部分は国産のプラットフォームでカバーしたい』というお客様からの要望が増えている。サイボウズのクラウドサービス『kintone』をうまく組み合わせることで、要望に応じられるようにしたい」と話した。