米上院で、スマートフォン盗難抑止に向けた「kill switch(キルスイッチ)」導入の法案「Smartphone Theft Prevention Act」が現地時間2014年2月13日に提出された。同法案では、端末が盗まれた場合にリモートで操作不能にできるキルスイッチ技術を、米国で販売されるすべてのスマートフォンに搭載することを求めている。

 同法案は、Amy Klobuchar議員(民主党・ミネソタ州選出)、Barbara Mikulski議員(民主党・メリーランド州選出)、Richard Blumenthal議員(民主党・コネチカット州選出)、Mazie Hirono議員(民主党・ハワイ州選出)が中心となって上程した。

 米連邦通信委員会(FCC)の調査によると、強盗事件の3件に1件で携帯電話が強奪されている。犯人の狙いは、高値でスマートフォンを再販することや、端末に保存されている個人データや金融関連情報を手に入れることだという。キルスイッチを実装することによって、盗難被害者は個人情報を保護できるほか、スマートフォンを盗む動機が弱まるため強盗事件への発展を抑止できると期待している。

 Klobuchar議員らによれば、北米都市部を管轄する警察署長が参加する団体Major Cities Chiefs Associationや米消費者団体Consumers Union(CU)をはじめ、ニューヨーク州Eric Schneiderman検事総長やカリフォルニア州サンフランシスコのGeorge Gascon地方検事らが立ち上げたスマートフォン窃盗の撲滅を目指すSecure Our Smartphones Initiativeに参加するメンバーなどが同法案を支持しているという。

 米メディアの報道(InfoWorld)によると、カリフォルニア州でも2月7日、同様の法案が州議会に提出された。2015年1月よりスマートフォンのキルスイッチ実装を義務づける内容となっている。同州のサンフランシスコでは、路上強盗事件の3分の2をスマートフォンやタブレットといったモバイル端末の窃盗が占めており、オークランドではその割合はさらに高くなる。

 キルスイッチ搭載の必要性を叫ぶ声は昨年より高まっているが、米大手キャリアや業界団体が異議を唱えていると報じられている。その理由として、端末紛失および盗難に備えた保険への加入者が減ること、悪質なハッカーによってキルスイッチ機能が悪用されるおそれがあることなどが挙げられている(関連記事:米大手キャリアは「キルスイッチ」実装に反対---米メディアの報道)。

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