楽天は2014年2月14日、無料通話・メッセージサービス「Viber」を提供するキプロスのViber Mediaの買収を発表した(写真1)。Viberは世界で193カ国・地域で展開し、約2億8000万ユーザーを抱えるサービスで、LINEや米WhatsApp、米Microsoftの「Skype」などと競合する。同日会見した楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、新たなグローバル戦略の一環としてViberの買収を位置付け、「楽天経済圏の拡大に寄与する」と語り、楽天会員と合わせて合計5億人にまでユーザー数を伸ばすことになるなどと説明した。
Viberの特徴として、Viber Mediaの共同創業者でCEOのTalmon Marco氏は、スマートフォンだけでなくWindows 8やLinuxなど幅広いプラットフォームで使えること、そして「包括的な機能を提供する」ことを挙げる。テキストによるチャットや無料通話、固定電話への発信といった機能、さらに「Push to Talk」(トランシーバーのようなやり取りをする機能)など他社のサービスが提供していない機能も提供する。
現在、Viberは「1日当たりのユニークユーザーが55万人増えている」(三木谷会長)サービスであり、まだまだ勢いのあるサービスであると説明。同社がデジタルコンテンツをグローバル展開する上での流通チャネルや、楽天に出店している店舗のコミュニケーションプラットフォームなどとしてもViberを活用していくとした。さらにゲームのプラットフォームとしての展開も検討している。
Viberの国内展開に関しては、Viberから固定電話への通話を無料にするキャンペーンや、ステッカー(LINEでいうところのスタンプ)の無料提供などを実施するとしている。
モバイルアプリの中で、Viberのようなメッセージアプリは2013年に特に高い成長をしており(関連記事:2013年のモバイルアプリ利用は前年の2倍超、メッセージアプリは3倍と高い伸び)、LINEもグローバルで3億ユーザーを超えるなど競争も激しくなっている(関連記事:LINEの登録ユーザーが3億人突破、2014年中に5億人目指す)。Viber MediaのMarco CEOによると、Viberは特に米国、ロシア、フィリピン、オーストラリア、アイルランドなどで多く使われているという。
Viber Mediaの買収に関して、楽天は銀行借り入れにより100%同社の株式を取得し子会社化する。買収金額は9億米ドルで、2014年3月に買収を完了するとしている(写真2)。
買収金額が誤っておりました。正しくは9億米ドルです。お詫びして訂正します。[2014/02/14 18:40]