パソコン事業の売却について説明するソニーの平井一夫 代表執行役社長兼CEO
パソコン事業の売却について説明するソニーの平井一夫 代表執行役社長兼CEO
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 ソニーは2014年2月6日、2013年10月~12月期の決算会見を開き、「VAIO」ブランドで販売しているパソコン事業の売却について説明した(関連記事)。目標としていたパソコン事業の黒字化は困難な状況であり、ソニーの将来を見据えた成長のために決断したと、平井一夫 代表執行役社長兼CEOが説明した。パソコン事業は投資会社の日本産業パートナーズに売却し、ソニーは2014年春モデルを最後にパソコンの販売を終了する。平井社長は「苦渋の決断だった」と無念をにじませた。

 タブレットやスマートフォンといったモバイル製品の市場が急速に成長し、特に個人向けパソコン市場で販売台数が低下している。そうした業界構造の変化から、「ソニーとしてはモバイル領域ではスマートフォン、タブレットに集中すべき」(平井社長)と判断した。

 ソニーはパソコン製品の企画・設計・開発のほか製造と販売についても2014年の春モデルを最後に事業を収束する。これまでにVAIOを購入したユーザーに対するアフターサービスは事業収束後も継続していく。3月末までに売却の正式契約を締結する。

 これまでVAIOの一部製品を製造してきた長野県安曇野市の拠点に新会社を設立する。新会社はVAIOブランドを付けた製品の企画・設計・開発・製造・販売とパソコン事業全体を運営する。当面は国内市場を中心に販売するという。

 新会社のトップには、これまでソニーのパソコン事業を率いてきた業務執行役員SVP VAIO&Mobile事業本部の赤羽良介 本部長が就任する。これまでソニーでパソコン事業を担当していた従業員は約1100人。このうちの250人~300名が新会社に移る。円滑な事業立ち上げを推進するため、新会社の設立当初はソニーが5%の出資をする。

 平井社長はVAIOブランドの製品について「市場に普通のパソコンとは違うデザインと機能を備えた常にソニーらしい製品だった」とこれまでの業績を評価したうえで、「社員や関係者の努力と貢献で支えてきた大きなビジネスだったが、苦渋の決断だった」と話した。