内閣府大臣官房番号制度担当室はこのほど「行政手続番号法」(マイナンバー制度)の施行令案の概要を公表し、パブリックコメントの募集が行われている。しかし施行令の条文などは2014年2月6日現在も公開されていない。企業関係者からは「これでは手順をどうするか、事務設計のしようがない」と困惑の声もある。

 2014年1月25日に公開された施行令案の概要によると、情報提供ネットワークシステムに接続された電子計算機に記録する情報照会者や情報提供者などの保存期間について、「情報提供等の記録の保存期間を7年とすること」とした。また本人確認については、「個人番号が記載された住民票等の書類の提示を受けることその他主務省令で定める措置とする」とした。

 番号付きの住民票は2016年1月から交付されるため、住民票による本人確認ができるのは2016年1月以降になる。企業の正社員は、給与の源泉徴収票を渡す2016年末までに番号の本人確認をしていく流れになるという。しかし、例えば正月の短期間だけ雇用するアルバイトなどの場合、運転免許証などで本人確認を進めるなど別途早めの対応が必要になりそうだ。

 施行令は当初、2014年1月にも公開される見通しだった。番号制度担当室によると、「施行令の概要でポイントは網羅しているが、条文がまだ出ていないことは心苦しい」と釈明している。関係者によると、具体的な適用場面などの詳細は、税に関する財務省令や、自治体向けの番号取り扱いに関する総務省令、社会保障分野での厚生労働省令などが必要という。施行令(政令)がなければ省令が出せないという関係にある。

 条文の公開が遅れているのは、過去に住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)で訴訟が相次いだこともあり、閣議に付される前に行われる内閣法制局の審査が慎重に進められているためのようだ。番号制度の関係者は「年度内に政省令を出したい」としているが、企業関係者からは「年度を超えると、企業はシステム改修のための時間がなくなり大変」という指摘もある。

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