写真●富士通の加藤和彦CFO(最高財務責任者)
写真●富士通の加藤和彦CFO(最高財務責任者)
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 富士通は2014年1月30日、2013年4~12月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比7.4%増の3兆3523億円で、営業利益は370億円を計上し、黒字を回復した。最終損益は23億円の黒字と、構造改革費用の計上で952億円の赤字に陥った前年同期から大きく改善した。

 好調だったのはITサービスやシステム開発事業などが含まれる「テクノロジーソリューション」セグメント。売上高が前年同期比10.2%増の2兆2493億円で、営業利益は同56.7%増の1027億円となった。

 記者会見した加藤和彦CFO(最高財務責任者、写真)は「ソリューションSIが好調で、受注残が積み上がっている。国内のインフラサービスも堅調だった」と説明した。公共や金融分野におけるIT投資が活発化し、国内のシステム構築ビジネスが増加。サーバーなどハードウエアも、公共向けの大型システム商談が寄与し増収を確保した。海外ビジネスでは円安進行が売上高を押し上げた。

 PCや携帯電話などで構成する「ユビキタスソリューション」セグメントは、売上高が前年同期比1.9%減の7999億円で、営業損益は341億円の赤字に転落した。

 販売台数が大幅に減少したことや、不良品の増加など品質問題が響き、「(2013年10~12月期だけで)携帯電話事業は90億円の営業赤字になった」と加藤CFOは述べた。販売低迷を受け、2014年3月期通期の携帯電話出荷計画を370万台(従来計画420万台)に引き下げた。2013年3月期の出荷実績は650万台だった。2014年4月1日に端末製造子会社を集約することで、コスト構造を改善する計画だ。

 対照的にPCは好調。個人向けはタブレットなどに押されて苦戦したものの、Windows XPのサポート終了に伴う法人の買い換え需要が旺盛で、PC全体としては増収となった。

 半導体や電子部品からなる「デバイスソリューション」セグメントは、売上高が前年同期比13.1%増の4505億円で、営業損益は222億円の黒字に転換した。

 2014年3月期通期の連結売上高予想を4兆6800億円へと上方修正した。海外のITサービス事業が円安効果を享受するほか、法人を中心としたPC買い換え需要が堅調なことを織り込み、昨年10月に発表した予想から600億円を積み増した。為替差益により、経常利益予想も50億円増額し、1400億円になるとした。