写真●「LOHACO ECマーケティングラボ」の所長に就任する東京大学名誉教授の宮田秀明氏(左)と、アスクルの岩田彰一郎社長(右)
写真●「LOHACO ECマーケティングラボ」の所長に就任する東京大学名誉教授の宮田秀明氏(左)と、アスクルの岩田彰一郎社長(右)
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 アスクルはビッグデータを活用した新たなEC(電子商取引)のマーケティングに、取引先(サプライヤー)と一緒になって取り組む。2014年2月21日に「LOHACO ECマーケティングラボ」を本社内に設置する。所長には、大容量情報解析に詳しい東京大学名誉教授の宮田秀明氏が就任する(写真)。LOHACOは、アスクルがヤフーと共同で2012年10月に始めた個人向けの日用品通販サービスである。

 ラボの開設に先立ち、アスクルは1月28日、流通ビッグデータの解析に関心が高い約60社の取引先、合計120人ほどを本社に招き、「Webマーケティングコンソーシアム」を開催した。アスクルの岩田彰一郎社長や所長になる宮田氏も出席して、2月に開設するラボの詳細をいち早く紹介した。ラボはビッグデータを使った取引先との共同ECマーケティングの実証実験や実践などを推し進める。

 アスクルの取引先を前に講演した宮田氏は「経営に(成功の)“方程式”はないが、我々にはデータがある」と切り出し、取引先の垣根を越えたビッグデータのオープン化が「社会最適」の実現には欠かせないと説いた。「LOHACOならそれができる」と確信しているといい、岩田社長からの所長就任要請をすぐに承諾したという。宮田氏はこれまでもアスクルのデータ解析を支援してきた。

 宮田氏は「現在の小売り流通は社会最適から程遠い状態だ」と語り、取引先同士が手を組んだ流通ビッグデータの統合を呼びかけた。これにより、品ぞろえ解析や顧客の購買行動解析が可能になるといい、それが結果的に「顧客が負担している買い物に行くための時間や移動にかかるコストの軽減につながる」とした。LOHACOをはじめとするネット通販は消費者の自宅まで商品を届けるサービスが基本であり、顧客負担の軽減の可能性が秘められているという。

 また、会場で岩田社長は日経コンピュータの取材に対し、このタイミングでラボの設置を決めたのは「LOHACOのサービス開始から1年以上が経過し、継続してご利用いただいているお客様の実像がデータから見えてきたためだ」と明かした。