米Appleがモバイル決済サービスを拡大する準備を進めていると複数の米メディア(ComputerworldBloombergなど)が現地時間2014年1月25日までに米Wall Street Journalの記事を引用して伝えた。

 報道によると、インターネットソフトウエアおよびサービス担当上級バイスプレジデントのEddy Cue氏は、モバイル決済業界の幹部と会談し、Apple製機器を使った物品/サービスの決済システムに同社が興味を持っていることを伝えた。

 またAppleは、長年オンラインストアの幹部だったJennifer Bailey氏を決済ビジネス担当者に任命した。Appleは同氏の任命に先立ち、決済ビジネス業界で有名な5人以上の幹部に接触し、この役職について打診していたという。

 Appleは現在、映画や音楽、書籍、アプリケーションといったデジタルコンテンツをiTunes Storeを通じて販売している。また同社直営の実店舗では、商品パッケージをスキャンしiTunesにひも付けられたクレジットカードで決済するという仕組みを一部の商品に導入している。一方で、衣料品の販売や、高級車ネット配車サービス「Uber」のような他社の物品/サービスについては、Appleアカウントで決済する仕組みがない。

 Appleは、iTunesやApp Storeが持つ何億ものクレジットカード情報を使った、新たな決済サービスの構築を目指しているという。今後、iTunes Storeに登録してあるクレジットカード情報を自動入力できるようにしたり、iPhone 5sに搭載している指紋認証機能を利用したりする可能性があるという。

 Wall Street Journalによると、昨年時点のiTunes Storeの登録者数は5億7500万人。Appleは過去5年間に約3億7500万台のiPhoneを販売し、過去4年間に約1億5500万台のiPadを販売している。同社は大きな可能性を持つ「眠れる巨人」とアナリストは指摘しているという。