NTTは2014年1月23日、ユーザーの近くに置かれた多数のサーバー群などに処理を分散させる「エッジコンピューティング」の開発を推進すると発表した。集約的にサーバーを配置するクラウドに比べて通信遅延が最大100分の1と短くなり、端末負荷を軽減できるほか、センサー情報など膨大なビッグデータ処理に向くという。
NTTの先端技術総合研究所が、開発方針を「エッジコンピューティング構想」としてまとめた(図)。ユーザーの端末からネットワーク越しにコンピュータの処理能力を使う点はクラウドと共通だが、ネットワーク上の端末のすぐ近く(例えばNTTの局舎など)に「エッジサーバー」と呼ぶノードを多数配備する点が異なる。
処理のリアルタイム性が高まり、特に端末とノードがデータを交互かつ頻繁にやり取りするアプリケーションなどで効果を上げるという。またスマホなど端末の処理をノードが肩代わりしやすくなり、端末の性能に左右されないアプリ処理が可能になるともしている。
第1弾として、スマホやPC向けのWebアプリケーションをエッジサーバーで分散処理する「分散型Web実行プラットフォーム」を開発した。2014年度から実際に事業化する方針である。
並行して新しい用途開拓にも取り組み、エッジコンピューティングの共通基盤技術のさらなる開発も進めていく。用途としては、スマートハウスやスマートシティなどの地域のエネルギー管理、M2M(マシン・ツー・マシン)などのビッグデータ分野のほか、ITS(高度道路交通システム)やAR(仮想現実)などを想定している。