米Wall Street Journalは現地時間2014年1月22日、富士通が米IBMのx86サーバー事業の買収を検討していると報じた。富士通は、IBMや米Hewlett-Packard(HP)と同様に、ハードウエア、ソフトウエア、サービスを法人顧客に提供するワンストップ・ショップを目指しているほか、海外事業の収益拡大を狙っていると伝えている。

 IBMのx86サーバー事業をめぐっては、米Dellや中国Lenovo Group(聯想集団)などが買収を検討しているとWall Street Journalや英Financial Timesなどが報じていた(関連記事:IBMがx86サーバー事業の売却を再検討、DellやLenovoが買収に関心、海外メディア報道)。

 IBMは2013年4月に同事業の一部あるいはすべての売却に向けてLenovoと交渉していたが、取引価格をめぐって話がまとまらず、両社の交渉は打ち切られた。Wall Street JournalによるとIBMはその後事業売却の再検討を開始した。Lenovoは数日前、対象となる企業名は明かさなかったものの、可能性のある買収案件について協議していることを認めたという。

 2013年4月時点におけるLenovoの提示額は25億ドルを超えるものではなかった。今回買収に興味を示している企業も同事業の資産価値を25億ドル未満と評価しているという。

 Lenovoはパソコンの出荷台数シェアで世界1位。だがパソコン需要が世界的に低迷するなか、IBMのx86サーバー事業を買収することで新たな収益源を確保できるとWall Street Journalは伝えている。また創業者らによる自社の買収が完了したDellは、パソコン依存の収益体制からの脱却を目指している。より多様な法人向けITプロバイダーとして、収益を拡大したいと考えているという。一方、不振なハードウエア事業が業績に影響を及ぼしているIBMは、利益率の低い事業から撤退し、ソフトウエアやサービスなど高付加価値事業へのシフトを進めている(関連記事:IBMの2013年Q4決算は7四半期連続減収、ハードウエアが不振