写真1●GE センター・フォー・グローバル・イノベーション内の「イシュー・オポチュニティルーム」
写真1●GE センター・フォー・グローバル・イノベーション内の「イシュー・オポチュニティルーム」
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写真2●3台のスマートボードがある「エンジニアリング・ソリューションルーム」
写真2●3台のスマートボードがある「エンジニアリング・ソリューションルーム」
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 日本GEは2014年1月22日、東京・赤坂にある本社内にイノベーションを創造するための中核拠点「GE センター・フォー・グローバル・イノベーション」を開設し、同日開所式を実施した。この拠点に顧客やパートナー企業、さらには大学や行政機関などの関係者を呼び込み、積極的に協業を促していく。熊谷昭彦代表取締役社長兼CEOは同拠点を「バーチャルコラボレーションセンター」と表現。日本企業が持つ優れた技術とGEの力を結集し、イノベーションを起こしたいと宣言した。

 そのため、拠点内には最新のデジタル機器を用意。例えば、議論を深めるための「イシュー・オポチュニティルーム」には大型の円形テーブルと2台のスマートボードを設置(写真1)。スマートボードの画面をタッチするだけで、コンテンツライブラリーから動画データなどを読み込んで、パートナーと議論できる環境を整えた。

 一方、「エンジニアリング・ソリューションルーム」には3台のスマートボードやテレビ会議ができる「テレプレゼンス装置」を用意(写真2)。3次元CADデータや設計画面を読み込んで部品や製品について議論するなど、技術面での話し合いを活性化させる。

 会見では同様のテレビ会議システムを使って、米中印の3拠点と日本を結び、コラボレーションするデモンストレーションを実施した。米GEが投資する産業向けの「インダストリアル・インターネット」を推進する米国拠点から議論に参加した担当者は「日本のイノベーションセンターと世界中のGE拠点を結び、拠点ごとの時差も強みと捉えて、世界中の人たちとコラボレーションできる体制を構築したい」と語った。

 GEグローバル・イノベーションセンター長に就任した日本GEの大塚孝之氏は、今回開設した拠点を使ってGE製品の開発リードタイムを短縮したいという。そのためにリーン・スタートアップの考えを取り入れた「ファストワークス」という開発手法に取り組むとした。

 ファストワークスとは顧客の声を早い段階で取り込んで、市場が求める製品をいち早く提供していく方法論だ。こうしたGE流のメソッドを使いながら、「この拠点を日本と世界をつなぐハブにしたい」と、大塚氏は意気込みを語る。

 今回の拠点開設に併せて、日本GEは日本企業から先端材料や環境・省エネ技術などを募集する「日本GE技術公募2014」を同日付で開始したことも発表した。4月30日まで公募を受け付ける。一次選考を通過した技術は、2014年8月からGEグループのイントラネット内で公開され、オンライン展示される。約30万人いるGEグループ社員に技術をアピールできるチャンスが得られる。

 日本GEは2012年にも同様の技術公募を実施しており、その時は125件の応募があった。内10件とは秘密保持契約を結んで、具体的な協業の検討を始めた実績があると明かす。そして今回はGE センター・フォー・グローバル・イノベーションも活用することで、2012年を大きく上回る協業への進展を狙いたいとしている。