米Googleによる米Nest Labs買収が発表され、プライバシーに関する懸念や憶測が巻き起こる中、Nest LabsのTony Fadell最高経営責任者(CEO)は「現時点でプライバシーポリシーを変更する予定はない」と述べたと、米メディア(TNW)が現地時間2014年1月20日に報じた。

 Googleは1月13日に、家庭用の室温制御装置(サーモスタット)などを手がけるNest Labsを32億ドルで買収することを発表した(関連記事:Google、元Apple幹部が創業したNest Labsを32億ドルで買収へ)。Nest Labsの学習型サーモスタット「Nest Learning Thermostat」は、ユーザーが設定した温度をもとに、ユーザーの在宅/外出などの行動スケジュールを学習し、自動的に暖房および冷房温度を調整する。

 買収発表を受け、消費者やプライバシー擁護団体などは、Nest Labs製品のデータがどのようにGoogleと共有されるか、どのようにGoogleで利用されるかについて、強い懸念を示している。

 Fadell氏は、ドイツのミュンヘンで開催されているデジタル技術関連の国際会議「DLD Conference」で行われたインタビューで、「今のところプライバシーポリシーを変更する予定はない。今後改定する際はすべてオプトイン方式で実施し、あらゆる変更は全ユーザーに対して透明にする」と述べた。またこれまでユーザーから収集したデータは、Nest Labsの家庭内オートメーション製品の強化に使用すると説明した。

 しかし、GoogleのNest Labs買収は、Googleが「物のインターネット(IoT:Internet Of Things)」の大容量データを利用することを目指した動きの一環だと、米NBC NEWSは指摘。Googleが、Nestを独立した事業として運営する可能性は低いと見ている。

 インタビューでは、「例えば、ユーザーが暖房をかける傾向が高いと、サーモスタットがセーターを宣伝してくるなどということはあるか」との質問に対し、Fadell氏は「そのようなサービス統合は進めていない」と否定した。しかし、今後決してしないとまでは言わなかった。