写真1●シスコシステムズ 公共・医療担当ソリューションズアーキテクトの岩丸宏明氏
写真1●シスコシステムズ 公共・医療担当ソリューションズアーキテクトの岩丸宏明氏
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写真2●京都大学医学部付属病院 医療情報企画部長の黒田知宏教授
写真2●京都大学医学部付属病院 医療情報企画部長の黒田知宏教授
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 シスコシステムズは2014年1月16日、都内で開かれた記者会見で、遠隔医療を支援するソリューション「Cisco HealthPresence 2.5」を発表した。同製品は、聴診器と連動して遠隔地から患者の心拍音や呼吸音を聞く、医師同士が電子カルテを見ながらTV会議をする、といった機能が備わっている。既に、2013年12月から販売を開始している。

 同ソリューションは、遠隔地で計測した患者のバイタルサイン(医療機器による測定値)や、医療用カメラの画像、聴診器の音などを、リアルタイムで共有できる。既にインド、中国、米国、カナダなどで導入が進んでおり、都心の大規模な医療機関に所属する専門医が地方のかかりつけ医の診療を支援する、医療機関のない地方に居住する患者を直接診察する、など活用しているという。価格は、2人が同時に閲覧できる最小構成で1万6000ドルから。1人当たり1500ドルの追加ライセンスを支払えば、3人以上の同時閲覧も可能だ。

 シスコシステムズによると、国内でも京都大学をはじめとした大学病院から既に受注実績があるという。同社の公共・医療担当ソリューションズアーキテクトの岩丸宏明氏は、「今後はパートナー企業を通じて、クラウドサービスとして提供することも検討している」と話す(写真1)。

 この記者会見では、京都大学医学部付属病院 医療情報企画部長の黒田知宏教授が登壇し、現在滋賀県長浜市で行われている遠隔医療の実証実験に関して説明した(写真2)。このプロジェクトは、過疎地域での医療体制をカバーすることを目的として2011年に発足したものである。

 2013年10月にCisco HealthPresenceを導入し、現在は都市部の大規模病院と地域の診療所をネットワークで結んで、遠隔医療を実際に行っている。黒田教授は「システムを入れた当初は、異なる病院間をつなげて、スムーズにコミュニケーションが成立するかどうか不安があった。だが、いざシステムを入れてみると、所属の違う医師同士でも積極的にコミュニケーションをとるようになった」と語り、取り組みの成果に自信を見せた。