インターネットの中立性を巡る米Verizon Communicationsと米連邦通信委員会(FCC)の裁判で、コロンビア特別区の米連邦巡回控訴裁判所は現地時間2014年1月14日、FCCが権限を逸脱しているとするVerizonの一部主張を認める判断を下した。

 FCCは、2009年にネット中立性に関する規則策定に向けた手続きを開始し、2010年に新たな規定「Open Internet Rules」の採用を決定した。新規定では、固定ブロードバンドプロバイダーが合法的なコンテンツ、アプリケーション、サービスを差別して通信を遅らせたり、遮断したりすることを禁じ、すべての消費者に平等なインターネットアクセスを提供することを義務づけている(関連記事:FCC、ネット中立性に関する新規定の採用を決定)。

 これに対しVerizonは、FCCは古い時代の規制をプロバイダーに強要し、顧客に革新的サービスを提供することを制限していると異議を唱えていた。

 控訴裁は、ブロードバンドアクセスに関してFCCは権限を与えられていないとするVerizonの主張は認めなかったものの、「FCCは20世紀の通信事業者の条件をインターネット上に課すことはできない」との考えを示し、FCCの新規定を却下した。

 Verizon公共政策担当執行バイスプレジデント兼法務顧問のRandal Milch氏は、「1つ確かなことは、消費者が今後も現在と変わらず、インターネットにアクセスして使用できるということだ。今回の裁決により、イノベーションの余地が広がり、消費者はインターネットにアクセスして利用する方法を自身で選べる」と述べた。

 一方FCCは、「上訴を含めてあらゆる選択肢を検討する」とのThomas Wheeler委員長のコメントを発表した。

 ブロードバンドプロバイダーが特定のコンテンツを優先的に扱うことが認められれば、米Netflixなどのコンテンツプロバイダーにとっては、より高速でサービスを展開するには高い料金を支払わなければならなくなり、頭の痛い問題だと複数の米メディア(BloombergWall Street Journal)は指摘している。

[発表資料(Verizonのプレスリリース)]
[発表資料(FCCのプレスリリース)]