図●IT予算の増減(計画ベース、前年度比) 出典:日本情報システム・ユーザー協会(2014年1月6日)
図●IT予算の増減(計画ベース、前年度比) 出典:日本情報システム・ユーザー協会(2014年1月6日)
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 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2014年1月6日、同協会が実施した「企業IT動向調査2014」において、IT予算の増減に関する速報値を発表した。同調査は、ITユーザー企業の投資動向やIT戦略動向などを定点観測するもので、調査対象は国内上場企業およびそれに準ずる企業。今回発表したIT予算に関する調査の有効回答は515社だった。

 2013年度は、政府主導の景気刺激策(アベノミクス)の影響で42.3%が2012年度よりもIT予算を増やしたが、2014年度も引き続きIT予算の増額傾向が続くことが今回の調査で明らかになった。同調査によると、40.3%の企業が2014年度のIT予算を2013年度よりも増やすと回答したという。IT予算を増額する企業の内訳は、「10%以上増加」が21.7%、「10%未満増加」が18.6%だった()。

 一方、2013年度に増額した一部の企業や、構造的な問題で業績回復の兆しが見えない企業では、IT予算を減らす構え。2014年度のIT予算を「10%以上減少」させるのは14.8%、「10%未満減少」させる企業は12.8%だった。

 JUASによると、IT予算が増加する企業の割合から減少する割合を差し引いて求めた2014年度のディフュージョンインデックス(DI)は12.7ポイントで、2013年度の13.4ポイントからわずかに減少したという。

 2013年度と比較してDIが大幅に改善したのは、売上高1兆円以上の大企業で、2013年度のマイナス11.6ポイントから2014年度は7.7となった。売上高が100億円以上1000億円未満の企業規模でも、DIが11.7(2013年度)から16.5(2014年度)に改善した。それ以外ではDIが若干減少したものの、すべての売上高規模でDIはプラスとなり、IT予算を増やす企業の割合が減らす企業の割合を上回る結果となった。

 業種グループ別でDIが大幅に改善したのは、電気や水道、ガスといった社会インフラ分野だった。2013年度はマイナス25.0で、業種グループ別では最低値だったが、2014年度はプラス22.3と業種グループ別で最高値となった。一方、金融の2014年度のDIはマイナス23.3と、前年度よりも3.2ポイント悪化した。

 重点投資分野としては、「顧客情報・営業支援(SFA、CRMなど)」の回答数が最も多く、40.1%の企業が投資順位の1位から3位までのいずれかに挙げた。以下、「生産・在庫管理」(1位から3位までの合計が33.1%)、「販売管理」(同32.2%)、「経営情報・管理会計」(同32.2%)の順となった。これら4つの投資分野は、他の分野に比べて突出して、投資順位の1位に挙げる企業の割合が高かったという。