米Googleの書籍全文検索サービス「Google Books」を巡る著作権侵害訴訟で、米ニューヨーク州南地区連邦地方裁判所は現地時間2013年11月14日、「Google Booksはフェアユースの範囲」とするGoogleの主張を認める判断を下した。

 Google Booksは、公共図書館や大学図書館の蔵書をデジタル化し、インターネットで検索・閲覧可能にしたサービス。米国作家協会Authors Guildや出版業界は2005年に、Google Books(当時の名称は「Google Book Search」)が著作権侵害に当たるとして、Googleを提訴。2008年10月にGoogleが一定の金額を払うことなどで和解に合意したが、2011年に地裁が和解の承認を拒否し、訴訟は振り出しに戻った(関連記事:Google Booksめぐる集団訴訟、連邦地裁が修正和解案を認めず)。

 2013年9月に開かれた審問でGoogleは、著作権物が評論、ニュースレポート、授業、研究などに引用される場合フェアユースが認められているのと同様に、Google Booksがスキャンした書籍の一部のみを閲覧可能にしていることも、フェアユースの範囲にあると主張していた(関連記事:Google、「Google Books」を巡る訴訟でフェアユースを主張---米英メディアの報道)。

 米Bloombergが公開した裁判所の資料によると、Denny Chin判事は今回、「Google Booksは公衆に多大な恩恵をもたらしている」と判断。「学生、教師、司書などさまざまな人々がより効率的に書籍を見つけ出すための貴重なツールになっている。書籍の入手が困難な人に対して書籍をより手軽に利用できるようにし、著者や出版社にとっての新たな読者と収入源を生み出している。実際、社会すべてが恩恵を受けている」と述べた。

 また同判事は、Google Booksでは全文が検索対象になっているものの、検索の結果閲覧できるのは書籍の一部に限られ、すべての内容を読めるようにはなっていないことも指摘した。

 Authors Guildは今回の判決を受けて、「われわれは裁判所の判断には反対意見であり、たいへん失望している」との声明を発表。「Googleは世界中の価値ある著作権付き文学のほぼすべてのデジタル版を未承認で作成し、それを表示することで利益を得ている。われわれの見解では、こうした大量のデジタル化と利己的な利用はフェアユースの保護の範疇を越えている」とし、上訴する意向を示した。

 一方Googleは、「長い道のりだった。われわれは今日の判決を心から喜んでいる」とのコメントを発表している(米Wall Street Journal米New York Timesなどの報道)。

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