写真●Hitachi Accelerated Flash(HAF)
写真●Hitachi Accelerated Flash(HAF)
[画像のクリックで拡大表示]

 日立製作所は2013年11月13日、同社製のフラッシュモジュール「Hitachi Accelerated Flash(HAF)」(写真)を活用したストレージ製品の機能強化を発表した。

 日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 開発統括本部の角田仁氏は「これからは、HDD(ハードディスクドライブ)にフラッシュを追加するのではなく、フラッシュにHDDを追加するという考え方」と述べ、同社のストレージ戦略が“フラッシュファースト”へ舵を切ったことを印象づけた。

 機能強化は大きく三つある。一つは、HAFを搭載可能な製品の拡充。今回、ミッドレンジのユニファイドストレージ「Hitachi Unified Storage 150(HUS150)」に、1.6テラバイト(TB)のHAFを搭載可能にした。HAFのみを搭載したオールフラッシュモデル「HUS150 all Flash」も用意、最大480台のHAFを搭載し768TBまで拡張できる。

 二つめは、大容量タイプのHAFの提供である。エンタープライズディクアレイ「Hitachi Virtual Storage Platform(VSP)」およびユニファイドストレージ「Hitachi Unified Storage VM(HUS VM)」向けに、3.2TBのHAFを提供する。

 三つめは、HUS VMでデータ読み込みを高速化するためのソフトの提供だ。「Flash optimization」と呼ぶソフトをストレージコントローラーに加えることで、読み込み処理を効率化する。一般に、データのReadミスが発生した場合、HDDでは「シークとディスク回転待ち」の時間が長いので、ストレージコントローラー内のCPUは他の処理に切り替える。フラッシュでは「シークとディスク回転待ち」が無いので、Flash optimizationにより、Readミスが発生しても処理を続行する。

 「HUS VMとFlash optimizationを組み合わせることにより、Read処理において100万IOPS(1秒間に可能なI/O回数)を実現できる」(日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部の岸本哲哉氏)。

 同社のフラッシュ戦略のカギを握るのが、HAFの進化と、ストレージ/HAFのコントローラー連携である。HAFはフラッシュメモリーとして「MLC」を採用している。MLCは「SLC」や「eMLC」に比べると、信頼性や書き込み回数の点で見劣りするが、「長いレンジで見るとMLCが主流になるだろう」(角田氏)。MLCを有効活用するため、HAF用コントローラー「Flash acceleration」は今後、データの重複排除や圧縮などの機能を搭載すると見られる。

 同社ストレージでは、HDDとHAFを混載した「ハイブリッド」構成が組める。その際、ストレージコントローラーがHDDアクセスとHAFアクセスを振り分ける。角田氏は「オールフラッシュとハイブリッド、どちらのニーズにも応えられることが強み。基本はフラッシュで構成し、バックアップ用途などでHDDを追加するような流れになっていくだろう」と話す。